浮世の網

マイムマイム、聞いて 綴じて。


木菟は静かに幸の羽根を広げ筒の中に性を籠める

ひんやりと潜む暗がりに易しく現れる掌の奥の火垂る尾

私を認めるよう陰を侍らせ、愛してる と鳴いたわ


落ち着きない木漏れ日を齎すことを願う、快晴の空を泳いだ

カフェテラスに置き去りにされてベタに交る心の声は、

素朴な太陽は御手軽でも価値は定めずにやっと転がっていく


角砂糖の数だけ溜息を盛り付け、

溢れる香は它を避けて通る

小指の爪の滑らかなキャンパスに描くは、

青い泪を流す琉金たち


見ず知らずの一寸法師と、

ひとひらと舞う蝶々が、

現在過去未来

居心地の悪い我が家を創造する。

といきがついた、明かり暗がり


グラスの縁に華ぶる紅に誑したマニキュアが唯、目を惹く。

酔い潰れる私と御対面。錆びた抜け殻では羽搏たけない、

なんて、嘘っぱちの躰を引き摺り、琥珀色の残夜と沈みたい


付け爪(スカルプ)は乖離したまま、朱い結び目も未だ疼くの

この輝石に涙を届ける濡場烏は、また、バイバイ。

陰の君はゆっくりと堕ちて逝く。今年もまた命日だから

何度でも殺しておしまい、ゆうひを待ち草臥れる、

私は涸れた花


金曜日の摩訶不思議。

おやすみまで 夢見心地のコマネズミたち。

仮初の椛 愛でながら、時時を繋ぐ 

雲の意図に添って生きて

当たり障りない言葉を聞き流し、

一ダースの日記を黒く染める


みまごうは言の葉MAGIC 触れた指先に焔を蔦わせ為さって

今日が死に絶える ひ。pm11:59


(ココア共和国7月号 電子版、投稿詩佳作集Ⅰ 掲載)

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