第二章 優勝するのはホワッツカラー!? 第二話
日が高くなるにつれ、気温はどんどん
強い日光に、
「まず真ん中の足から、1,2,1,2……ですわね?」
「うん、ちょっと走ってみよっか、移動はなしで」
ペアのアリスちゃんと息をそろえてその場
「あら、
「可愛い
朝篠宮会長と、宝塚副会長! ジャージ姿でも青空をバックにキラキラと輝いて見える
「ちょっとアキ、紐きつすぎなんだけど?」
「え、ほんと? ゴメン。でもあんまり
あ、神尾さんと河村さんもいる。神尾さんたちも強そうだな……。
「位置について、用意──」
パアン、と音が
鳴り
わわ、会長たち速い! 息ピッタリで
私たちも負けていられない──と思った時、ドンと体に
「きゃあっ」
「痛っ……」
追い抜かれざま、
「ごめん、アリスちゃん、立てる?」
「ええ。瑞姫ちゃんこそ……」
「
呼吸を合わせて立ち上がり、「1,2,1,2……」と
結果は、一位が朝篠宮会長ペア、二位が神尾さんペアで、私たちはビリ。残念。
「瑞姫ちゃん、ひじから血が……大丈夫ですか!?」
「平気、ただの
救護コーナーに行くと、テントの下のブルーシートには中村君が横たわっていた。
「えっ、どうしたの。大丈夫?」
「
首筋を氷のうで冷やしながら語る中村君。
「中村君、
「なるほど、紫の悪魔って
「聖瑞姫は
「ひじ、痛そうだね。傷口は洗った?」
「洗ってきた。消毒してもらえる?」
『救護係』の
「ごめん、あたしたち、ぶつかっちゃって……大丈夫?」
「うん、ちょっと擦っただけだし、気にしないで」
私の言葉に、河村さんはホッとしたように表情を緩める。
「よかった~。この後の出番にも
「うん、全然。──河村さんはこの後、何か出るの?」
「玉入れに出るよ~。聖ちゃんは?」
「私も玉入れと部活
「そっか、聖ちゃん、実行委員やってるんだっけ。
「ありがとう。菜々子ちゃんも、
「うん。いってらっしゃ~い」
二人にバイバイして、その場を立ち去った。
河村さん、今まであんまり話したことなかったけど、いい人そうだな。
午前中の競技が
「なあ大和。お前、もしかして熱とかないか?」
校庭に
「別に、いつも通りだぞ」
「ならいいけど……なんか
確かにさっきはドキッとしたな。その後のリカバリーっぷりにも
「本当になんともないんだな、野田?」
「ああ。おれはいたって元気ハツラツ! だぜ」
大きな口でおにぎりを
「そいつは何よりだ。バッドコンディションのお前に勝ったって、意味がないからな」
「勝つのはおれたち、赤組だ。午後で逆転して、絶対優勝してやるぜ!」
バチバチ火花を飛ばし合う二人。
気温だけでなく、勝負熱もヒートアップしていくようだ。
☆★☆
午後の部も、応援合戦からスタート。
まずは白組が、
某仲良し姉妹の映画の続編のテーマ曲。
統制が取れた
氷
白組団員たちは
オオーウオオーウ……と流れるバックコーラスが、全校生徒の
やがて雪に見立てたような白いポンポンをもって踊っていたチアリーダーたちが、一か所に集まっていく。
「勝利の
厨君が指パッチンをすると同時に、バッと散ったポンポンの中から水色のドレスを着た美しい雪の女王が登場し、おお~っと
あの女王役、中村君!? 応援団じゃないのに、友情出演か……。
大画面に映し出された
「白の子らに──光あれ!」
人差し指で天をさして響き
一方の赤組は、高嶋君の
「フウ~~フワッフワッフワッフワッ」と
ちなみにパネルに流れているのはアニメ「アイライブ!」のライブ映像……これ、ただの
──からのメドレーで次に流れ出したのは、ニコ動でお
団員の熱気あふれるダンスと
頬を紅潮させた野田君が、大声を張り上げる。
「最後に笑うのは、おれたち赤組だーー!」
「「「「「おおおおおおおお!」」」」」
……と赤白の対立が大いに盛り上がったところではあるけれど、次の種目は得点には関係ない部活対抗リレー。
「一時休戦、みんなで団結して、ヒーロー部の実力を見せてやろうぜ!」
野田君の呼びかけに「
残りのメンバーは「お~」と
運動部がそれぞれのユニフォームを着用し、ボールやラケットなど部活にまつわるものをバトンにしてリレーするこの種目。
ヒーロー部は運動部なのか文化部なのかよくわからないけど、野田君のたっての希望で参加することになっていた。
「ヒーロースーツを用意できなかったのは無念だが……!」
「いらないいらない」
くっ……と
ちなみにバトンを何にするかっていうのは色んな意見が出て、
決定打は九十九君が
そういえばそんなタイトルの映画があったなって盛り上がって……結局ダジャレである。
走る順番は、元ネタのだんだん若返るというあらすじにちなんで、誕生日が早い順にすることにした。
「位置について。用意──」
ヒーロー部のトップバッターは高嶋君だ。
部活ごとに装備の有利不利があるものの、サッカー部に続いて六人中二位という好順位!
「──九十九!」
「ぶにゃ~ご」
「うわ、暴れるな、ベンジャミン!」
二番手の九十九君もベンジャミンをなだめながら
いい感じ! 次は──
「中村!」
「来るのだ、ケット・シー」
バトンを受け取れるテイクオーバーゾーンの一番奥、ギリギリ
だけど、ああ~……水泳部、テニス部、陸上部、
なお、各部のバトンはサッカーボール、ビート板、ラケット、
「くっ……ギルディバランが……かつてなく暴走を……ゼエゼエ」
「中村君、あと少しだよ、
「聖、瑞姫……ゼエゼエ、この
校庭半周しただけでバテバテの中村君から
うわ、ベンジャミン重いよ~。
全力で走るけど、前の走者との
もともとスポーツは得意じゃない上、
ハアハアと乱れる呼吸、ドッドッと暴れる心臓、後ろに流れていく景色。
ほどなくして、テイクオーバーゾーンの一番手前に待機するすらりとした男子の姿が見えてくる。
「──ごめん、厨君!」
「ドンウォーリー!」
息を切らしながらベンジャミンを差し出すと、
厨君はグングンと風を切ってスピードを増し、剣道部、そして陸上部をも追い抜いた。
すごいすごい、ごぼう抜き! そして次はあの人──
「野田、頼むぞ!」
「任せとけ!」
バビューンと
さすが野田君、べらぼうに速い!
いよいよ一位まであと一歩、というところで次の走者は──
「莉々夢!」
「うむ、
しゃなりしゃなりと移動する彼女の横を、ドドドドド……と選手たちが駆け抜けていく。
「こら木下、もうちょっと活入れて走りやがれ!」
「やかましいのう……
莉夢ちゃんがようやくアンカーの虎之助君のところに
「──くっ、すまない……おれがもっとリードできていれば……!」
野田君はひざまずいて、
「いや、どうしたってビリでしょ」
「ドレスだからな……」
「そもそも本気で勝つつもりなら、ベンジャミンもないよな」
他の部員たちは
みんなジャージに
あ、高嶋君が走ってる~、と
「聖! 来てくれ、お前しかいない!」
グイッと手を引かれて、ゴールへと連れていかれる。
え、何、『女友達』? 『「アイライブ!」が歌える女子』とか!?
ゴールで見せられたお題は『理系女子』。
「別に私しかってわけでもなくない?」
「手を
そっちか!
「聖瑞姫!」
席に帰る
「お前は確か
なんのこっちゃと思いつつ、再びグラウンドを半周する。
お題は『やぎ座』だった。
「ハアハア……お前のおかげで試練を
「どういたしまして……ハアハア」
中村君とだからそんなにスピードが出てるわけでもなかったんだけど、さっきから走ってばっかりだから息が上がった。
「聖さん!」
応援席に
「『園芸部』ってお題なんだけど、
お、おう……。
「はい」と頷きながらも私がためらったのに気づいたのだろう、宝塚副会長はふっと
「ふっ副会長!?」
「お
キャアアアアアアと周囲から巻き起こる
なんだこの少女
どこまでイケメンなんですか副会長!
だが女だ。
「引っ張りだこではないか、シスター・瑞姫」
無事ゴールした後、ぽ~っと夢見
「うん、こんなに条件が
「……そうじゃのう」
莉夢ちゃんはふふっと
「おや、また
えっと
まさか、また……!?
「──木下! これ書いたの絶対おまえだろ!」
まなじりを
「
「ふざけんな! ノーゲームだこんなの!」
ふとグラウンドに目を向けると、厨君が「ナンセンス!」と毒づきながら中村君をおんぶして猛ダッシュしていた。
なるほど一緒に走るより速そうだけど……厨君もなりふり構わなくなってるな。
ゴールで明かされたお題は『学年首席』だった。
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