厨病激発ボーイ プライド超新星
第一章 繁忙プレパレーション! 第一話
ふわりと甘く
「
七夕祭りに合宿、プールにラップ大会にドラマ
数えきれないほど色々なことがあった
しかしそんな
ドンドンドン……と、聞こえてくるのは
なんだろう? という疑問は、校庭の一角に並んだ生徒たちの姿を見て解決した。
「フレーフレー、あ・か・ぐ・み!」
体育祭の
そしてその先頭に立って声を張り上げてるのは──
「まだまだ声量が足りないぞ! もっと、もっとだ……おまえの限界を、
くりくりした大きな
どこからどう見ても、高二になっても地球を守るために日々
「おれたちの
って野田君、うっかりヒーローというより悪の組織みたいなこと言っちゃってるよ!?
そしてその
「武道館ライブのアイライバーを見習おうぜ。そんなへなちょこじゃ
芸能事務所にいても
どうやら赤組は野田君が応援団長、高嶋君が副団長になったらしい。
「ククッ、なるほど、そういうわけか……」
不意に後ろから
ド派手な服装やマニアックなものを好むことで「人とは
「おはよう、
「おはよう。そういうわけって、どういう意味?」
「〈あいつ〉が応援団をやるなんて、いったいどういう風の
もったいぶったようにそう話しながら、九十九君が指さした先に見えたのは、白組の応援団。彼らを率いているリーダーは──
「ワンモアタイム! 頭から行くぞ。フレーフレー、し・ろ・ぐ・み!」
オリーブ色の髪。
日本人
「厨君が白組団長!?」
「去年の体育祭では、野田に敗れたからね。あの負けず
「よっぽど
「オラオラオラ! 全然気合がたらねーぞ、ビッとしろやオラ!」
じゃなくて
上級生にも
ヤンキーに
「俺は
色んな意味で並外れた頭脳を
「まあ体力ゼロの中村に応援団は無理だよね」
「見くびるな! 以前も語っただろう、俺が本気の力を解放するとこの世界のバランスが
「体育祭か……良いのう、
ククククク……とよだれをぬぐいながら邪悪な
両耳の下で結ばれた
「
ここにピンクである私、聖
「もしかして莉夢ちゃんが言ってるの、棒取りゲームのこと?」
「うむ、その通りじゃ。……
「やめろ! ピー音機能してないし、こっち見ながらニヤニヤするなー!」
「あっ、ピンク、パープル、ブラック、莉々夢! おはよう!」
「ふうー、朝練終わりっと……『アイライブ!』で空良ちゃんチャージだ」
「モーニン。おまえら、さては俺の
「今年はオレたち白組がテッペンとるんで、そこんとこ
「ぐがああああ、まずい、右腕が、
秋になっても、まだまだ
☆★☆
「今年はヒーロー部員の半分が
「おう!『赤組団長はおまえしかいない』って去年の団長から直々に
そんなことを話しながら、野田君、高嶋君、九十九君、私の四人で2‐Cの教室に入っていくと、「おはようございます」と
「アリスちゃん、おはよう」
「おはよう!」
「おっす」
「おはよう」
「あ、あの……」
なぜか
「どうしたの?」
「……た、高嶋君。今日の昼休み、お時間をいただけますか?」
アリスちゃんは
「大切なお話があるんです……!」
「……!? べ、べべべ別にいいけど……」
思いっきり声を裏返しながら高嶋君が返答し、アリスちゃんが胸を押さえながらふうっとため息をついたところで。
「皆さん、おはようございます」
細身に白衣をまとった
アリスちゃん、どうしたんだろう……? 明らかに、様子がおかしい。
……もしかして、ついに告白しちゃう……とか?
その後、高嶋君はずっと上の空。
アリスちゃんは授業中に高嶋君と目が合うとパッと顔を
そして、とうとう昼休みになった。
「場所を変えたいので、ついてきていただけますか?」
「わ、わかった」
残された私たちは顔を見合わせ、大きく
──つけるしかない!
「
「そういう二葉だって、ついてくる気満々でしょ」
「あっ、ターゲットが外に出るぞ!」
そうしてたどり着いたのは、人気のない旧校舎の裏だった。
「むう、見えにくい……」
「
「シーッ、声が大きいよ」
私たちは植え込みの
「は、はは話って?」
「あの……
声を裏返して問う高嶋君を、思いつめた瞳で見つめるアリスちゃん。
「あの
「告白?
「実は宇宙人だったとかか!?」
的外れな反応を返す中村君と野田君に、厨君が「スチューピッド」と
「ラブの告白に決まってるだろ」
「あ、そっちか!」
「何……あの女、そうだったのか!?」
中村君、今まで気づいてなかったのか……。
「……でも、わたくしには全然突然のことじゃなくて。ずっとずっと前から、
アリスちゃんはそこまでしゃべると、ほうっと
わああ、いいぞ、アリスちゃん、その調子!
「勝負時だな!」
「正直、やっとか、って気がするけど」
「Look who's talking.(お前が言うな)」
「よし、
「もう、みんな
「なかなか
熱がこもったアリスちゃんの言葉に、高嶋君も
ついに……!
「高嶋君、どうかわたくしの──」
あと一息!
「選挙の
陰で身を乗り出していた一同がズコーッとつんのめり、植え込みの揺れる音で二人が振り返った。
「おまえら……!」
「どうしてここに?」
「ごめん、アリスちゃんの様子が
「選挙って、生徒会選挙のことか?」
「そうですわ」
体育祭が終わるとすぐ、生徒会選挙があるんだっけ。
幸い、アリスちゃんは私たちに
「わたくし、
それでもじもじしてたのか。ま、まぎらわしい……。
「そんな構える必要はないって何度も言ってるんだけどね」
ガサッと近くの
「
「推薦人を
「今見物って言いかけませんでした?」
「もともと彼がいいんじゃないかって提案したのは僕だし」
ジト目でとがめるアリスちゃんにはそ知らぬふりで、言葉を
「どうして俺?」
極度の緊張から解放されたばかりの高嶋君が、まだ気の
「選挙に有利なのは実績と人脈だろう? 西園寺さんは一年間生徒会役員として働いた実績はあるけど、知り合いが少ないから、推薦人は顔が広い人物がいい。そして、西園寺さんの
「極めて狭いって、失礼ですわよ!」
「本当のことでしょ」
景野君にバッサリ切られて、うぐっと言葉に
別にアリスちゃんがクラスで
「西園寺には空良ちゃんの激レアカードをもらった恩があるし、やってもいいけど……景野の方が適任じゃないか? 同じ生徒会で、西園寺のことよくわかってそうだし」
そう言った高嶋君の声は、どこか彼らしくなくぶっきらぼうに
「西園寺が会長になったら、おまえが副会長になるんだろ?」
生徒会メンバーは、会長の指名で決まるんだよね。
確かに、経験者で気心の知れた景野君がやるのが
「いや、僕は今期いっぱいで生徒会を
景野君はあっさり否定すると、「さっき言った通り……」と高嶋君に人差し指を向ける。
「推薦人は友達の多い
なるほど、
「景野も選挙運動には協力してくれるそうです……わ、わたくしも、推薦人は高嶋君以上の適任者はいないと思いますわ。お願いします……!」
「──オーケー。『アイライブ!』総選挙では指が
……人選ミスってない?
「ありがとうございます! とりあえず、選挙のことで動き出すのは体育祭が終わってからで大丈夫ですわ。
アリスちゃんはそこでハッとしたように口を押さえるやいなや赤面し、急に早口になる。
「どどどどうして応援団って知ってるかって、別に
「アリスちゃん、どうどう、落ち着いて」
せっかく
「うん、まずは体育祭だよね。──実は体育祭実行委員会が今日の放課後から始まるんだけど、人手が足りなくてさ。ヒーロー部に手伝ってもらえないかな? 手が空いてる人だけでいいから」
景野君が言うと、平静を取り
「ヒーロー部の
「そういうことなら、協力するよ」
野田君も満面の笑みを
「応援団と、実行委員。ヒーロー部全員で、体育祭、盛り上げるぞー!」
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