第36話
「……あなた、異世界なんて居たの。聞いてないわよ」
「いや、言えるわけないじゃん母さん……」
泣きついてきた雫を何とか宥め、カウンター席に座る珠希とミリーナ。雫は終始珠希の胸に顔を埋めている。
「それより、異世界のこと、信じるんだな」
「目の前の変な扉とそこのエルフ見れば充分じゃない?」
たしかに……と思いつつ、サラッと潔子が作ったカクテルを不思議そうに吟味するミリーナをチラリと見る。
「それで、このエルフは?」
「ふむ………不思議な見た目なのに美味いな……一体何を材料として使っているのだ……あ、すまないお義母さま。私はミリーナと言って、珠希くんの女だ」
「………あらそう。アンタ、やっと魅力的な大人の人捕まえたのね」
「反応が淡白だなぁ………」
シャカシャカとシェイカーを降り、未だに珠希の胸に顔を埋めている雫へとカクテルを出す潔子。なんとか珠希は雫を隣の席へ座らせた。
「それで、珠希。あなたはあと何人女ができたの」
「ブッ!」
珠希はついつい飲んでいたミルクを吹き出してしまう。
「ふむ……五…いや、多分六……うん、六人だ、お義母さま」
「あら、以外も少ないわね」
「じゃあ私が七人目なの?いや、でも実質珠希くんの童貞くんは私だから実質私が1番よね!」
「………………」
ヒシッ!と珠希へ抱きつく雫。ミリーナがそれを見て少しカウンター席を動かしてから珠希へとしなだれかかる。
「……私の息子だけど、とんでもないたらし男に育ったものね」
「おいこら。誰の背中見て育ってると思う」
「私と」
「私!」
大正解だよこんにゃろ……と思いながら珠希は癒しを求めてミリーナの腰へと腕を伸ばす、す。「んっ…」と声を上げた後に更にミリーナは珠希へ体を密着させた。
「それで、本題は?異世界から戻ってきましたはい終わりじゃないでしょ?」
流石は珠希の親と言うべきか、珠希の心はキスなんてしなくても丸わかりである。
「……あぁ、実はもうすぐで俺たちが巻き込まれた戦争が終わるんだ。だから、ちゃんと『ただいま』を言うのは全てを終わらせてからにしたい」
「………そう、頑張りなさいよ」
と、潔子は、珠希の近くへ顔をよせ、ほっぺたにキスをする。親子、神楽家のごくごく普通なスキンシップである。
「珠希がいなくなって二週間。テレビで取り上げられたり、お客さんが珠希ロス起こしてるから、ちゃっちゃっと終わらせてーーーまた元気な顔を見せに帰ってきなさい」
「………うん、任せて。母さん」
「うわーん!!私も異世界行くー!!」と言って聞かない雫(20歳)を潔子が後ろから羽交い締めにしたのを見届けてから扉をくぐり、異世界へと帰還した珠希とミリーナ。鍵を外すと、その扉を空気となって消えた。
「…負けられない理由がもうひとつ出来たな」
「そうだな。お義母さまの為にも、傷一つない綺麗な状態で、この戦争を終わらせないとな」
「……頼りにしてるぞ、ミリーナ」
珠希はミリーナの頬に手を当ててそのままの勢いでキスをする。
「んっ……任せたまえ。私の回復魔法は死以外は大抵直せるからな。勿論処女膜も」
「……ごめん。急になんでその話?」
「なに。君を飽きさせないための方法だよ」
裏話だが、クラスメートの女子たちは狂化の首輪のせいで記憶が無い&人間の兵士達によって陵辱されている。
その為、エルフ達は少し記憶を除き、処女の状態で陵辱されたものには処女膜をまた復活させてあげるという優しいのだが優しくないのだがよく分からない処置を施した。
まぁ記憶の整合性を取るためには必要な処置だとは思うが。
「そういえば珠希くん。さっきの雫も言っていたが、正妻は誰にするのだ?」
「え?全員じゃだめなの?」
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この主人公がミリーナに寄せる信頼の厚さ。なんか萌える。
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