第27話
「世話になったな」
ルシフェラとハッスルした後、ベルセルクに見送られ、無事に魔王城へ戻ってきた珠希。ラピスも珠希を送ると、
「此度はありがとうございました。おいおいベルセルク閣下からお礼が届くかと」
と言って消えていった。
ラピスを見送った珠希な、ルシフェラへと手を伸ばす。何をするのか悟ったルシフェラは嬉しそうにその手を握った。
フッ、と珠希達の姿が消えると、次の瞬間、珠希達は王の間へと姿を表していた。
「ひゃ!びっくりした!」
なお、魔王は玉座にて完璧にだらけきっていた。
「ちょっと珠希くん!?来るなら来るで一言お知らせを……こほん、どうした?珠希」
「……魔王よ、今更取り繕っても意味無いかと」
「しー!ルシフェラ!しー!」
(なんだこのお茶目魔王は………)
「いい?ルシフェラ。こういうのはね、雰囲気が大事なの。例えバレても押し通す!このくらいの意気がないと!」
「は、はぁ……」
ルシフェラは諦め、ちらりと珠希へと視線をやり、「後は頼みます」とアイコンタクトで送った。
「………オスクロル。ベルセルク閣下の応援は無事に達した」
「うむ。それについてベルセルクから報告が来ていた。人間軍の殲滅……予想以上の成果だ」
「………あぁ」
珠希は下を向く。今更だが人を殺したという罪悪感が胸の内に出てくるが、首を振ってから追い出した。
(……いい。あいつらは殺されて当然の事をした。だから気に病む必要なんてない……)
クラスメートへの絶対服従や、奴隷化。どれをとっても許されることではない。
「……ルシフェラ。珠希をリリアの所へ連れていけ。そして、今日は休め」
「………すまん」
「感謝します、魔王よ。珠希様、私が支えますので………」
「……ありがとう」
フッ、と珠希達の姿が消え、オスクロルはふぅーと長い息を吐いた。そして魔王モードを解除して手を振った。
「……なにあれ!ルシフェラちゃんの翼完璧に染まってたわ!!」
画面に映るのは当然珠希とルシフェラの姿。
「ここ行く前はまだまだ若干灰色っぽい感じだったけど、今は光沢の黒になってるわ……気になる……私凄い気になる!」
野次馬根性たくましい魔王は両手を頬に当ててキャー!と叫んでいる。
この魔王。人の恋愛話大好きである。
「あの二人がよろしくな関係になった経緯は気になるけれどーーー」
オスクロルはもう一度手を振り、画面を消すと、長方形の盤上を出す。
「きっと次はーーーーーー」
「珠希様!」
「おっと………」
ミリーナの部屋に出ると、リリアが思いっきり抱きついてくる。素晴らしいお胸をしばらく堪能した珠希は、一番の功労者であるミリーナへと視線を向けた。
「おつかれミリーナ。五人は?」
「他のメイドへ任せた。今頃それぞれ、部屋でぐっすり睡眠中さ」
ミリーナはコーヒーらしき黒い飲み物をズズっと飲む。そうか、と珠希は呟いて嬉しそうに胸へ顔を押し付けてくるリリアを構ってやった。
「美波は?」
「彼女は神田の看病へ行ったよ」
一之瀬美波と神田朔良は友人関係に当たる。当初はミリーナの手伝いをしていた美波だが、朔良を見ると血相を変え、途中でミリーナの手伝いを、ミリーナの許可を取って抜け出した。
「……そうか、リリア。ちょっとミリーナと話があるから、ルシフェラと一緒に俺の部屋で待機しててくれないか?」
「……ルシフェラ様?」
「はい、リリア姫。行きましょうか」
リリアの手を取って転移するルシフェラ。
「……今度は天使……いや、あの羽の色は堕天使か……この色男」
珠希の後ろからしなだれかかるように抱きつくミリーナ。彼女の大きな旨が形を変える。
「……まぁでも、私が惚れたのはキスひとつで女を堕とく魔性の男……愛してくれるなら、何人だって構わないよ」
「……ミリーナ」
「ん?どうした珠希くん。私の唇ならいつでもーーーーむ?」
珠希は、勢いよく体を反転させると、その豊満な胸に顔を押し付け、力強く抱きしめる。
「………ふむ」
そしてよく見ると、珠希は震えていた。
「………いいだろう。気が済むまで甘えるといい。私が必要なら………」
ーーーーー君の思うままに、貪り尽くしても構わない。
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