第16話

「さて、最後は私だな」


 先程の天使であるミカレウスによく似た羽を持っている魔王幹部であるルシフェラ。しかし、その羽は黒く染まっている。


堕天フォールンのルシフェラだ。神楽珠希、よろしく。何か聞きたいことがあったら聞いてくれ」


「……………」


 と言われても急に言われても質問なんてすぐには浮かばない。とりあえず、堕天について教えてもらうことにした。


「容量についてはミカレウスから聞いたな?」


 堕天すると、神からの支配から逃れたということになるので、堕天自体の容量が低くなるため天使よりも介入させやすいとか。


 ルシフェラもミカレウスと同じように神から遣わされた身。しかし、容量が低くなると言っても、そんなに多用は出来ない裏技みたいな感じである。


「堕天する条件は、天使以外と恋に落ちること……まぁ私は急に言われたから無理やり神様に堕天させてもらったがな」


 はぁ……とため息をついて垂れてきた長い白髪を後ろへかき分ける。


「……と、言うことはこの戦争が仮に終わったらルシフェラは天使に戻るということか?」


「そういうことになるな。私が本格的に堕天しなかったらの話だが………他になにか聞きたいことはあるか?」


「………じゃあ一つだけ………お前性別どっち?」


「…………は?」


 髪は伸ばしているが、顔はイケメンにも美女にも取れるような顔立ち。声も高いとも言えないし、低いとも言えない、そして男らしい口調。


 唯一特徴をつけようとして珠希は胸に目を向けるが、胸当ての鎧のせいでよく分からない。


「……な、分からないのか!?」


「…だって口調も男っぽいし、お前美人だがイケメンかわからん顔してるし」


(ついでに胸当てしてるじゃん。分からん)


「………くっ、こんなこと天界でも言われたことないぞ……」


「な、なんかすいません………」


「いや、いい……そういえば最初エーテルにも会った時に聞かれた気がする……いいか私はしっかりと女だ。よろしくな珠希」


「はい、よろしくお願いします」


 握手を交わす二人。へカトラスとガルボとライガスを除きいた全員と自己紹介を終えた珠希を見て、後ろで黙って見ていたオスクロルは玉座を立ち上がり、珠希の元へ歩いていく。


「そして私が魔王オスクロルだ。改めてよろしくな珠希」


「………この場では敬語の方がいいのか?」


「いや、珠希は特別だ。自由にしろ」


「それじゃ、いつも通りと言うことで」


「……ちなみに、この魔王モードも時々辞めるから珠希くん、そこら辺慣れてね?」


「…………………………」


 いや、この変化だけはなれる気がしないなと思った珠希だった。


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