第12話
「あ、起きた?」
「………-…ーーー!!?」
目覚めた瞬間、珠希は膝枕をされていることに気づいた
「………あー、その、なんかすまん」
謝りながら体を起こす珠希。何処と無く照れくさくなり、右手で後頭部をかいた。
「ふふ……珠希くんって、寝顔、意外と可愛いよね」
「…………なんのことやら……っておい、やめろ。頬をつつこうとするな」
「ふふ………」
魔王の片鱗なんてどこかの川に投げ捨てたようににこにことしているオスクロル。このままだと永遠にされそうな流れのため、何とか話の流れを変えようと頭を動かす。
「……そ、そうだ!定例会議!定例会議は!」
「………あ、そういえばそろそろだね……ちょっと待ってね………よし、では珠希。行くか」
「…………お、おう」
一瞬にして魔王モードになったオスクロル。珠希の腕を引っ張ってから立ち上がらせると、すぐ様景色があの時の広間に変わった。
「………そういえば、これって転移になるのか?あれって今は失われし古代のやつじゃなかったのか?」
「我々が普段使っているのは転移の下位互換だ。むかしのようにスポスポと空間くぐってどこでも行けるということは無い………待て、なぜお前がそれを知っている?」
「魔眼」
珠希はコントロールできるようになった魔眼を蒼く光らせた。
「この世界基準で言うなら、多分『知恵の魔眼』が一番ピッタリ来ると思う。俺が欲しいと思った情報なら過去から現在までなら好きに知ることが出来る。これで昨日、クラスメイトを1人だけだが救えることが出来た」
「なるほど………知識か。意外と知的探究心が高いのか?」
「………まぁ、そうかもしれんな……」
思い返すなら雫に早く女性を喜ばせるキスのやり方を結構教えて欲しいと強請っていた珠希。まさかそれが影響されたとはちょっと考えたくはなかった。
「……まぁいい。魔眼については後でミリーナを交えてゆっくりと……来るぞ」
瞬間、オスクロルでは無いものの、それなりのプレッシャーが広間を覆った。
そして、玉座の前に跪いた状態で現れる一つの姿。人に近い外見をしているが、背中からは蝙蝠を思わせる巨大な羽に、捻れた角。そして赤黒い肌。
「久しぶりだな。ベルセルク」
「はっ。魔王様もお元気そうで」
魔王12幹部
「……して魔王様。そちらは……」
「あぁ、あとで説明しよう。今は席に座ってくれ」
「了解した。私はベルセルクだ。是非よろしくして欲しい」
「あ、あぁ………」
見た目からは思わせない温厚な態度に動揺してしまう珠希。
そして、続々と入場してくる魔王12幹部達。
魔族代表神獣フェンリル
そして、魔王のオスクロル。これが魔王軍の最高戦力である。
「……………………」
珠希は思った。圧巻だなと。驚いたことは、幹部に人がいた事と、魔族代表だけ人型でないことである。
(後ジャイアントでかい)
この広間の天井が高い理由は絶対コイツ入れるためだなと珠希は思った。
全員が席に着いたのを確認(フェンリルは座れない、へカトラスはデカすぎて椅子がない)のを確認すると、オスクロルは立ち上がり、
「それではこれより、定例会議を開始する」
と、魔王モードで会議を始めるのであった。
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