第11話
「それでですが珠希様、魔王様が顔を見せるようにと仰られてました」
「んー………風呂上がったら行くか。今はゆっくり浸かりたい……」
リリアに懇切丁寧に体をふきふきしてもらい、ご満悦な珠希。普段一人では出来ないくらいに入念に洗ってもらい、そのついでにまた反応しだした珠希の息子の方も収めてもらった。
(いや……サキュバスまじすげぇ)
キスの技術は珠希の方が上だが、やはり男を手玉に取るという意味ではリリアの方に軍配が上がっていた。
体を体で洗ってもらうという全男子の夢であろうことを堪能し、風呂にゆっくりと浸かる珠希とリリア。
しかし、何やらガララという風呂場の扉が開いた音が響く。
誰も入ってこないように清掃中の立て札をぶら下げてたはずだが……と思いながら後ろを振り向くと、その裸体を惜しげも無くオスクロルがいた。
「魔王様!?」
「………オスクロル」
「ふむ。狙いが当たってたーーーーごめんなさい、魔王モード解除するわね。良かった、まだ居てくれて」
と、ぺたぺたと珠希たちの方へ近づくオスクロル。しかし、珠希の視界はいつの間にか後ろに回り込んでいたリリアに塞がれており、珠希がオスクロルの裸を見れたのは一瞬である。
「……リリア?珠希くんに何してるの?」
「ま、魔王様の裸は男の人を魅了しますから!その予防です!」
「そう?…まぁいいけれど」
ちゃぽん……と足だけ浴槽に浸らせるオスクロル。
「どう?珠希くん。魔王軍のお風呂は」
「あぁ。大変素晴らしいと思う。俺の元いた世界の風呂よりも気持ちいい」
「そう?なら良かったわ。ここのお風呂は地下にある源泉を魔道具でいい感じの温度にして直接ここに来ているからね、魔王軍1の癒し場なんだ、ここ」
バシャバシャと足を動かして水面を揺らす。
「………そういえば、俺を呼んでたらしいが、要件は?」
「あら、そうそう。あのね、珠希くん。二時間後に定例会議があるから、一時間前に私のところに来てっていうだけのこと」
「………定例会議?」
聞き覚えのない単語に眉を顰める珠希。
「魔王様と魔王軍幹部の12人が行う、今後の魔王軍の将来を決める大事な会議です」
リリアがこそこそと教えてくれて、なるほど、と珠希は思う。用は珠希のことを紹介したいということだろう。
「分かった。この後用もないから風呂上がったらそのままオスクロルの元へ行こう」
「そう?それなら大分ありがたいわ。ご褒美に、お姉さんのお背中流してもいいわよ」
「是非」
「え、ちょ!珠希様!?」
リリアの手をどかして風呂から上がると、健康的な肌から羽や尻尾がチロチロと動いているオスクロルの背中を見つめる。
(………うん、完璧だな………)
形、バランス。やはり全てが完璧なバランスで成り立っていた。
その後、なんか洗うの上手だったらしい珠希がご褒美と言われ、強制的に口で搾り取られた。
「………なんでだ。すごい疲れた……」
「ご、ごめんね珠希くん。久しぶりだったからついつい………」
あはは……と言ってぐでーっとしている珠希をおんぶして運んでいるオスクロル。たった1回口でやってもらっただけだと言うのに、物凄い疲労感を感じている珠希。
(……まぁ物凄い気持ちよかったけど)
「会議が始まるまで寝る?」
「ん………そうさせてもらおうかな」
疲労であまり頭が働いていない珠希。会議は二時間後ということなので、オスクロルの言葉に甘えて寝させてもらおうと、既にウトウトしている中で思う。
一瞬だけ体に変な違和感を感じたと思ったら、背中が柔らかいクッションに受け止められ、きっとベッドの上だなと認識すると、眠気がいっせいに襲いかかってきた。
「今はゆっくり………ね?」
頭が何かに載せられる感覚と、頭になにか触れる感覚を最後に、珠希は目を閉じた。
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