第10話
「………んっ」
何か違和感を感じた珠希は、昨日の疲れからか熟睡していた意識を覚醒に持っていく。この部屋の中では外の景色とかは分からないため、朝かどうかも確認できないが、体感的には6時間は寝たと思う。
違和感の正体を確認しようと、寝ぼけ眼のまま周囲をさぐる。隣にいたリリアは既にいなくなっていた代わりに、珠希の下半身が妙にモコモコとなっていることに気づく。
半分寝ている状態で掛け布団をバッ!と開けるとーーーーー
(……………なるほど。一気に覚醒したわ。まぁ任せるか)
珠希は快楽に身を任せることにした。
「……んっ、珠希様、ご馳走でした」
「……そーかい」
あれから結局3回搾り取られた珠希は、脱力感に身を任せていた。
(朝からなんかすっげー疲れた……まぁ気持ちよかったからいいけど)
リリアの頭を撫でてからベッドを降りる珠希。その時、ふと自分が結構汗の匂いやらなんやらで結構臭いことに気がついた。
「……リリア、風呂はあるか?」
「お風呂でございますか……ありますよ!着いてきてください!」
「おう、頼んだ」
楽しげに珠希と腕をくんでから部屋を出ていく二人。一方、ミリーナの部屋でももう一人、覚醒しようとしているものがいた。
「………んっ……」
そう、珠希が救った少女、一之瀬美波だ。
彼女は献身的なミリーナの介護により、体力以外はほぼ完治したと言ってもいい。残りはしっかりとご飯を食べて寝るだけである。
(………暖かい……)
1人の寒さに震え、恐怖に支配されていたあの状況とは違うことに気づき、美波は徐々に意識が浮上する。
ゆっくりと目を開け、ぱちぱちと何回か瞬きをして焦点を合わせると、目の前にやけの美人な顔があることに気がついた。
言わずもがな、ミリーナである。
「目が覚めたかい?お嬢さん」
「えっと………」
突然の事態に困惑している美波。色々と聞きたいことなど沢山あるが、まず昨日のことが夢ではないということだけは分かった。
「あの………珠希くんは…」
「ふむ、彼ならば今リリア………あぁ、他の女の子とよろしくやってるんじゃないかな?」
「………へ?」
唐突な発言に目を丸くする美波。
「ぶえっくしゅ!」
「珠希さま?」
「いや、済まない……裸でちょっと寒かったようだ、続きよろしく」
「了解致しました!」
当然、よろしくやっていた。
「………よ、よろしくですか?」
「そう、よろしくだ………あぁ、そんな無理して体を動かすんじゃない」
危ないからと言って、上体を起こそうとしていた美波の背を急いで支えるミリーナ。
「すみません、まだあんまり体調良くなくて……」
「気にするな、何か食べれるかい?一応食べ物をオスクロルに用意してもらったのだが……」
食べ物と聞いた瞬間、忘れていたかのように美波のお腹から大きな音が鳴る。
「フフっ……はいこれ、熱いから気おつけてね」
「………ありがとうございます」
羞恥で頬を赤らめてからミリーナに食べさせてもらう美波だった。
「今更だが、私の名前はミリーナだ。ここ、魔王軍で働いているよ」
「はい、一之瀬美波と言います………えっとーーー」
この後なんて言おうかな、と思っていたところに、ミリーナからの横槍が入る。
「途中で悪いが、あれだ。君と珠希くんは一体どういう関係なんだい?」
「…………え」
一瞬、どういう関係?と聞かれて頬を赤らめさせるが、急いで首を横に振った。
「い、いえいえ!別にまだそんな語れるほどな関係ではないといいますかその、まだまだ発展途上といいますがその…………」
「ん?、あぁ安心しろ。珠希くんからは恋人でないと聞いているからな」
「そう……ですよね………はぁ」
一瞬で落ち込む美波。分かってはいたが、口に出されると何となく落ち込んでしまう。
「ふむ………君もキスでやられたクチか?」
「そうなんですよ、落ち込んでる私に颯爽とキスをする珠希くんにーーーーー『も』?」
「『も』、だ」
「「………………………」」
二人の間に変な空気感が流れる。
「………ちなみに、珠希くんが年上好きということも?」
「もちろん知っている。しかし、私は既に歳は300を超えているからな。完璧だろう?」
「ぐぬぬ……エルフ、羨ましい……!」
何やら意気投合をしていたようだ。ちなみに、先程聞きそびれた『よろしく』の意味を聞いてみたところ…………
「そんなの、ズッコンバッコンやっているに決まってるだろう?実を言うと、私もだなーーー」
ちょっと聞いて損してしまった美波だった。
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