第9話
真夜中。隣でリリアが珠希に抱きついて寝ている中、珠希は1人考えていた。
それは、魔眼のことについてである。つい2時間くらいまで、リリアとよろしくやっていた珠希は何度も瞳が熱を持ち、魔眼が出てくるのを感じた。その度に、分かっていく、自分の魔眼についての特性が。
目を閉じて意識をする。先程までは感情の昂りでしか発現出来なかった魔眼が、熱を持ち、力が湧いてくるのを珠希は感じた。
そうだな………〇〇の魔眼と例えるならば、『知恵の魔眼』と例えるのがよろしいだろう。
簡単に言うなら攻略本のようなものである。珠希が欲しいと思った知識を、魔眼が懇切丁寧に教えてくれるなんとも親切設計だった。
それを使って珠希は今の自分の状況をもう一度振り返ったり、魔王軍と人間軍の争いの始まりまで遡ったりと、たくさんの知識を詰め込んだ。
そして、リリア達から聞いたとおり、人間軍の方が黒。かなり人間軍の方は性根が腐っているやつが多かった。
更に、このままだとーーーーいや、既に向こうに召喚されているクラスメイト達もかなりやばい状況になっていることが判明している。
人間を強制的に兵士へとしてしまう『狂化の首輪』。やつらはそれを首に付けさせてから捨て駒兵士を作ろうという作戦は、既に始まっていた。
取り外すことは簡単なのだが、そもそも取り外さないのでこのままだと、死ぬまで前線だ。
(そんなことはさせない……!)
特に仲の良かったクラスメイトは既に首輪を嵌められて調整中である。
しかし、彼女ーーーー
一之瀬美波が、珠希がこんな性格でも好きだと、隣に置いてくれと懇願していた女性だ。
願う。彼女を救う手立てを。
(頼む、知恵の魔眼なんだろ?その程度の方法くらい教えろ!)
強い意志の力により魔眼がさらに強く光が発生する。宿主の
そして見つける。その
「………なるほど」
随分と分かりやすく知った魔法『転移』。空間を繋げ、超長距離~短距離の移動を一瞬で済ませることが出来る古代の技術。
「………
ぐにゃりと、視界が一瞬歪む。転移する際には、座標や、1度行ったところのみという制約が着くが、座標に関しては既に知識の魔眼から貰っているため、移動に関しては問題は無い。
真っ暗ではあるが、どこか温かみのある部屋から、真っ暗な部屋にたどり着く。目の前には鎖に繋がれ、少し制服が乱れて目を閉じている彼女の姿。
(………牢屋か)
彼女がいた部屋は酷かった。汚臭もするし、部屋は汚いしで最悪だった。
「……美波」
「………うっ……」
急いで肩を揺する珠希。ゆっくりと顔を上げた美波の頬には、1つの赤い跡があった。
(………殴られたのか)
顔も酷くやつれている。珠希を視認した瞬間、顔に希望が宿った。
「たま……き……くん……」
「今は喋らないでいい………今助けるからな」
「うん……ありが……と……」
また直ぐに気を失った美波。知恵の魔眼で学んだ魔法を放ってから鎖を断ち切り、支えが無くなった美波の体を受け止めた。
そして珠希は美波を抱えあげてから急いで転移。
「ミリーナ!」
「どうした?珠希くん、そんなに急いでーーーーー直ぐに手当をしよう」
振り向いたミリーナは、珠希が腕に抱えている美波を見てから、何か期待するような顔から、一瞬で研究者の顔に戻る。
「そこに寝かせるんだ」
ミリーナの指示に黙って従い、ベッドにゆっくりと寝転がせる珠希。ミリーナが立ち上がり、手を伸ばすと、そこから光が溢れ出す。ミリーナの瞳はいつの間にか赤く染っていた。
「…………なるほど、過度なストレスに精神的ショック、絶望………しかし、君の顔を見てだいぶ落ち着いているようだ」
「……なんでそこまで分かるんだ?」
「フフっ……解析の偽眼を甘く見たらいけないよ」
パチッ、と珠希に向かってウインクを決めるミリーナ。バッチリ決まっていた。
「………ふむ、安心したまえ珠希くん。命に別状はない。しっかりとした環境で寝て、栄養を取れば明後日にも元通りだろう」
「ありがとうミリーナ。おかげで助かった」
「なに。将来私の旦那になる予定なんだ。このくらい、なんてことは無い」
「…………そうだな」
「なんだい珠希くん、まだことわーーーーーえ?今そうだなって言ったかい?………いない」
珠希の方を振り向いたが、既に珠希の姿はそこにはもういない。
「……全く。期待だけさせておいて2回言うのはダメだなんて………まぁそこもいいけれども」
治療が終わったら珠希の部屋へ忍び込もうと決意をしたミリーナ。急いで美波の治療を終わらせるのだった。
「ふむ………お、人間軍にしてはまだこの子の処女取ってなかったのか……良かったね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます