第4話
時刻は深夜1時。
叔父は基本的に仕事時間がまばらなので、僕が居ないうちに帰ってきては心配するだろうと思い書き置きをしてきた。
夜遅くとも目的の神社は観光で訪れる城の隣にあり、人は少しでもいるだろうと思っていたが、人通りは全くなく、初夏なのにひんやりとした空気が肌を刺す。
この時間帯なら妖の活動時間で跋扈している筈が気配がしない。
「ねぇ、おかしくないか?」
「流石、霊力がある人間は違いますね。
石が持っている力でしょう。私としても近づきたくはないですからね。」
僕達は懐中電灯の灯りを頼りに、天守閣の横にある一の鳥居をくぐって境内に向かって行く。
境内は重々しい雰囲気が漂っており、一歩一歩が重たく感じる。
宮司や巫女の気配すらもない。
「札を剥がさないといけない殺生石はどこにあるんだ?」
「本殿の方ですね。ささ、早く行きましょう。」
境内に入ってから河童は急かす様に拝殿を通り過ぎ本殿の方へと向かう。
本殿は木々に囲まれていた。
さらに重い雰囲気増し、風もなく唯一木々の隙間から月明かりが入ってくるのみだ。
扉に手をかけると鍵がかかっておらず、すんなりと開き月明かりで少し部屋の様子が見える。
懐中電灯を奥に向けると祭壇があり、丸い鏡と札が貼られている紫色の石が置いてあった。
石の周りはしめ縄が貼ってある。
どう見ても触るべからずだ。
「本当に剥がしていいのか?
剥がして何か起こるとかないよな?」
僕は後ろにいる河童に確認をする。
「何かありましたら、私が全力で盾になりますよ!
殺生石を壊してくれるんですからそれぐらいは力になります!」
拳を握りながら言ってくる。
少し、僕との距離が空いてる気がするんだが助ける気はあるのだろうか……。
気を取り直して僕は札に手をかける。
「さぁ、早く。あの方をお目覚めさせる為に。」
河童の呟きに気づかず。
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