第31話 出来るかな?「真の神殿」《トル・マルヤクータ》での実験①
「ねえ、井出さん。この『カロリーメイト』ってチーズ味しかないんですか? いい加減、
七海の言葉に井出は首を
「七海君、それ
「え? これお菓子じゃないですよ。ほら『バランス栄養食』って書いてあるじゃないですか。私の中では、これはおにぎりとかサンドイッチに近い食べ物ですね。」
陸上競技をやっていた七海に言わせると、競技の合間に
「ウチ、フルーツ味が好き。けどベジタブル味は苦手やわ。」
「え? そんな味あるの? 私もこのお菓子は苦手だけど違う味なら食べられるかなあ。」
井出と七海の会話を聞いていたアヤと真由美が加わって来た。ピートも『
「あら、またコーイチのところが良いの? この子、男性には全く
エマが少し驚く。井出も子供は嫌いではないのでピートを抱き上げると膝に乗せる。そう言えば
「え、こんなに一杯の種類の味があるの? 食べてみたいな。」
「ふーん、やっぱりベジタブル味って無くなったんや。ウチとしてはフルーツ味があれば文句無いけどね。」
「中学生くらいの時まではポテト味って言うのがあったよ。甘いのばっかだと
七海のスマホを見ながら真由美とアヤが盛り上がっている。その時アヤが何かを思いついたように提案した。
「そうや! あの黒い建物に「フルーツ味と交換して」とか書いた紙と一緒に
「おお、なるほど。それ面白そうだな。やってみよう。」
井出も
「ほなら、何味が良いか
「俺は一度、ベジタブル味って奴を食べてみたいな。」と井出。
「ウチはフルーツ味やね。これは
「私、ポテト味。久し振りにあれ食べたくなったよ。」と七海。
「うーん。どっちにしよう。でもパッケージのロゴがピンクで可愛いからメープル味で。」
真由美はチョコレート味とどちらにするか迷ったようだ。アヤがメモ用紙に皆の要望を書き込んで4箱の「カロリーメイト」チーズ味と一緒に黒い建造物の丸い台の上に置く。そして操作パネルに手を
「どうやろ? あー、
「ホントだ! きゃー、ポテト味久し振り! 早速、食べてみようよ!」
処理が終わって交換が成功したのを確認して、アヤと七海は大喜びだ。皆で味見を始めることになった。四種類の味の「カロリーメイト」を少しずつ割って、それぞれ試食し始める。
「あ、メープル味ってホットケーキ食べてるみたいで
「うーん、久しぶりのポテト味。甘いのに
「ふう、やっぱりウチはフルーツ味が一番やわ。やっぱ鉄板よ、コレ。」
「お! このベジタブル味って結構イケるじゃないか。確かにこれなら、おにぎりやサンドイッチの感覚で食べられるな。」
井出と三人の女子高生たちは、それぞれ自分が選んだ味を気に入ったようだ。
「うん。私やピートはメープル味が一番好きかな。これ北の森で
バースはどうだろうと皆が見てみると、甘い匂いがするメープル味やフルーツ味には興味を示したが水分が乏しいのが気に入らないのか好みでは無いようだ。唯一、フルーツ味を少し
「やっぱりバースちゃんには果物かな? はい、どうぞ!」
真由美が紫色のブドウに似た果実をバースに手渡すとカロリーメイトはそっちのけでムシャムシャと食べ始める。野生動物に人間の食べ物を上げ過ぎると良くない。無理に食べさせることもないか、と井出は思った。
「なるほど。これなら保存も効くし非常食としても使えるな。食べてしまっても深夜15時を過ぎたら、また補充されるし
一日が30時間の
「同じ製品のバリエーションは
井出はメモ用紙にある
『S&W M1917をS&W M629に進化させますか? 同メーカー内の進化なので消費する進化ポイントは100ポイントです。 はい/いいえ』
井出は「はい」を選んだ。すると処理が始まる。再び処理台が戻って来た時、そこには専用のホルスターに入った
「やった! これで暴発を気にせず6発全弾
「あー! それ、
それを言うなら「ダーティーハリー」と同じヤツと言って貰いたかったが、井出はアヤに
「助けて下さいわん。キィサちゃんがオークやゴブリンの酔っ払いに
「駐在さん、早く早くだぴょん。キィサちゃん、
駐在所に助けを求めて来たのは獣人族の二人の少女、コリアとカーニィだった。
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