第25話 結束の証
「くぴぴ~」「いてまうぞ、われ~」
ピートがアニメのキャラクターの
「んちゃ!」
今度はピートが真由美に向かって叫ぶ。彼女は丸い大きなフレームの眼鏡を掛けていた。実は真由美は少し遠視なので長時間、手元を見るときは眼鏡を掛ける。ところが遠視用なので、元々大きめの瞳がより大きく見えてしまうのだ。
大きな瞳、大きな丸眼鏡、しかもあるキャラクターに髪型が似てるため、眼鏡を掛けた真由美は学校などで
「マミたん、
アヤが真由美の丸眼鏡を掛けてみる。するとピートは手を
「ぐらまー!」
「え? ホンマ? ウチ、グラマー? 本当の事言うたらアカンわ、ピート君~♪」
彼女はピートに向かってポーズを取ってボケて見せた。真由美と七海がそれを見てクスクスと笑い出した。そんな
(千年もの間、全く歳を取らないなんて・・・。一体、どうゆう
ラヴィニアには調査が済んでハッキリしたことが判るまでは誰にも話さないように念を押されている。彼女の推論だが「第二次
(あの夢で見た「
「コーイチ! そろそろ資材と人足が到着する頃よ。今、「保安官の町」から電話があったわ。」
エマの呼ぶ声に井出は考え事を一度止めることにした。少ない情報を基に幾ら考えても効率は上がらない。下手な考えは休むに似たり、今は目の前のことを確実にこなすべきだ。彼はエマに続いて事務所を出て行った。
「もうすぐ見えて来ると思う。荷物が重いから丘を南に
エマが丘の南側を指差した。ラヴィニアやリンネ中尉、保安官テッドも集まって来る。駐在所の居間からも三人の女子高生がピートを連れて出て来た。その時だった。地面が少し揺れた気がする。気のせいかと思ったら、また揺れた。地震か? どうやらそうでもない。
「あ、見えて来たわ。ほらあそこ!」
エマが指差す先を良く見ると丘の
「なんだ、アレ。まるで『動く城』だ。どういう原理で動いてるんだ?」
井出は思わず
「ドッシャン! ドッシャン!」
振動と共に「動く城」たちは駐在所に接近してくる。丘を
「あれが『
ラヴィニアが井出の疑問に答えた。次第にホルビーたちの陽気な楽器の音が大きくなってゆく。「動く城」たちは駐在所の「防御結界」の前で停止した。入場の許可を待っているのだ。
「皆さんの入場を許可しまーす! 遠いところ、ようこそ当駐在所へ!」
井出が宣言すると駐在所の周りを囲む直径200mの環が淡く緑色に光った。「動く城」たちは結界の内部に進むとそれぞれ脚をしまって着座する。甲板のホルビーたちも楽器の演奏や踊りを止めてゆく。城の本体からタラップのようなものが幾つも降ろされて人がどんどん降りて来た。
「おお、忙しくなってきたな。あの背が低くてガタイの良い奴らがドワーフ族の男だよ。皆、力持ちで仕事熱心だ。これで町の建設がどんどん進むだろうさ。」
井出の横で保安官テッドが教えてくれた。井出は応援に来ていたライフル隊のことを思い出した。
「もしかして、この間応援に来ていたライフル隊の射手たちもドワーフ族だったんですか?」
「おお、そうだよ。井出君はぶっ倒れちまったから
そういえばライフル隊の後ろでオッツオやミィドリたちホルビー族が楽器を
「そうか! あの城はドワーフ族とホルビー族の両方の魔法を使って動かしているんですね?」
「その通り! あの『動く城』はドワーフ族とホルビー族が
井出は「赤い夢」に出て来た三人の少女のことを思い出す。彼女たちも「
「おお、そうだ。一緒に俺の女房が来ている筈だ。探して連れて来るから皆、駐在所の前で待っててくれ。」
保安官テッドはそう言って
「これから、ここにテッド保安官の奥さんが来るそうだよ。皆、自己紹介の心構えをしといてね。」
駐在所の前に戻った井出は真由美とアヤ、七海に声を掛けた。三人の女子高生たちもそれぞれ
「やあ、皆紹介しよう! 俺の
「皆さん、初めまして! ヴァイモです。『ヴァイ』と呼んで下さって結構よ。」
「ぐらまー!」
保安官テッドの妻が
「え、お母ちゃん? なんでここに居るん?」
「あれ、アイちゃん先生! どうして
そこにはアヤに良く似た丸眼鏡を掛けた30代後半くらいの女性が立っていた。
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