第24話 古《いにしえ》の少女
井出が目を覚ますと目の前にラヴィニアの顔があった。硬直する井出を
「うわ、ちょっとラヴィニアさん。
「もう! 早く起きて、ご飯食べて! 丸々二日も寝てたのよ? これ以上は
掛け布団を引っぺがしたラヴィニアは井出を追い立てるように階下の居間に追いやる。彼は顔を洗い
「ほらほら、ちゃんとお肉食べないと筋肉が戻らないわよ? 若いんだから朝からでもこれぐらい食べられるでしょ~!」
確かに腹は
「うん! 良い食べっぷりね。当然、お代わりするわよね。 あ、そうそう『赤い夢』は見たかしら? 安心してね、見たからって必ず『夢精』するわけじゃないから!」
「ブッー!」
ラヴィニアがさらりと言う。瞬間、井出はコンソメスープを
「あ、ゴメンね。真由美ちゃん、有り難う。けど、何か顔が赤いよ? どうしたのかな?」
彼がそう声を掛けると真由美はぴゅーっと逃げて行ってしまった。何か気に
「お代わり
「え? あ、ああ~、
常に
「あの、ラヴィー・マム。自分、何か皆の気に
井出の質問にラヴィニアは少し考え込んだ。そして、ああそうだ!と言う表情になって答える。
「
「あー! そう言えば
井出は思い出した。そうだ、あの日の朝は「ある事情」が有って下着を着けなかった。いや着けられなかったのだ。それなのに
「でも、死にかけたり、生命の危険を感じたりすると男の人って『元気』になるって話を聞いたことがあるけど・・・。あれ、本当なのね。
「ええと、その、真由美ちゃんもアヤ君も七海君も、それとエマも皆見ちゃったんでしょうか?」
「ええ、リンネ中尉もね。皆、貴方を心配して集まってたから。バッチリ見たわ♪」
ああ、今すぐ穴を掘って入りたい、生まれて来てスイマセン!と井出は思っていた。これから彼女たちとどんな顔をして接すれば良いのか・・・。唯一、エマだけが態度を変えて来ないのが救いか。
「まあまあ、浩一クン。その後の着替えはテッド君とジェフ君がやってくれたわ。過ぎたことはクヨクヨしないの。男の子でしょ? さっさと朝ご飯食べて、お仕事しましょ! 一杯やること貯まってるわよ?」
井出は
駐在所の外に出るとあちこちで工事が始まっていた。草原の草を刈って、背が低いが体格の良い髭面の男たちが地面を掘ったりしている。
「うわあ、もう色々と始まってますね。二日もぶっ倒れててスイマセン。」
井出が保安官テッドに頭を下げる。テッドは気にするなとばかり手を振りながら答える。
「まあな、資材と人足は今日到着するがそれまでに基礎とかやれることは進めて行かないとな。それより体の方はどうだ? 四人でブーストした
「あ、まあ。お
保安官テッドが感心している。彼は井出の肩をバンバン叩きながら口を開いた。
「
「あ、痛い。そこ、まだ痛いんすよ。」
任せられるって何を?と井出が聞こうとした時、後ろからラヴィニアが声を掛けて来た。
「いいかしら? 浩一クン、見せたいものが有るの。一緒に来て
井出は彼女について行く。行く先は一昨日、マークが倒した黒い巨人がある場所だ。今は大きな
「中に入って。今から見たこと、聞いたことは真由美さん、アヤさん、七海さんには秘密よ。彼女たちには私が時期を見て話すわ。」
中に入るとリンネ中尉とエマが居た。またエマが
「これは『
井出は思わずラヴィニアに問いかけた。リンネ中尉とエマが驚いて彼を見つめる。何故、知っているのか?と。ラヴィニアだけは驚かずに片目を
「正解よ、浩一クン。
「
井出は
「浩一クン、
彼女は
「100年前、『保安官の町』の『初代ヒウム』たちが現れた時も『
「けれど200年前に「ドワーフの郷」にクラウス青年が現れた時には『
「そうよ! 冴えてるわね、浩一クン。つまり何のためか理由は判らないけど『
井出は思い出した。彼がラヴィニアに初めて「
「
「そういう事になるわね。他に理由が無いもの。何故、手に入れたいのか?はこれから調査と検証が必要だけど・・・。じゃあ、次の質問の答えに移るわ。こっちに来て。」
ラヴィニアは井出を天幕の奥に誘った。そこはカーテンで仕切られている。その奥を覗き込んだ彼は驚きの声を上げた。
「そ、そんな馬鹿な、千年前の
そこには簡易ベッドに横たえられた栗色の髪の少女が居た。彼女の耳が長いことがエルフ族であることを証明している。シーツを掛けられた胸元がゆっくり上下して少女が生きていることを主張していた。
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