第14話 赤い夢 第一夜
気が付くと井出の視界には薄く赤い
「近づかないで! 触らないで! 変な事したら舌
七海が井出に向かって叫ぶ。
「どうして、私を殺さないの? こっちはアンタたちの仲間を何人も殺したのに!」
彼が七海に手を
だが、井出が
反射的に振りほどきそうになったが、下手をすると
「これに
七海に似たエルフは口に入った血を
風景が切り替わる。七海に似たエルフがベッドの上でシーツに身を
「そんな物、何回持って来たって無駄なんだからね! また噛み付かれたいの?」
井出が
風景が切り替わる。
「あなたねえ・・。他の
井出が
風景が切り替わる。なんだか視界が薄暗い。どうやら井出が
「あなたねぇ、なんで他の
彼女は泣きながら必死に何度も
風景が切り替わる。頬を
風景が切り替わる。七海に似たエルフが
「やっと生まれたわ。私とあなたの女の子。元気ね。」
周囲の青年や男の子たちは拳を天に突きあげ、喜びの声を上げている。家族に女の子が産まれたことが
「オカアサントイモウトハ、ボクタチガ、ゼッタイマモル!」
井出が憑依するオークが一番大きな青年の肩に手を置く。
風景が切り替わる。視界がまた薄暗い。また死にかけているようだ。だが今度は怪我では無く寿命のようだ。目の前に
「あなた、もうお別れなのね・・・。最初は噛み付いちゃったりしてごめんなさい。すっかり傷跡が残っちゃったわね。」
七海に似たエルフは井出が憑依している存在の左手に頬を寄せ、思い出深げに目を閉じている。
「あなたのこと、死ぬまで絶対に忘れないわ。私がそちらに行くまで、まだ大分あるけど、待ってて下さいね、あなた。」
彼女は目を閉じて唇を寄せてくる。ふくよかな形の良い唇がどんどん近付いて
「・・・でさん! 井出さん! 起きて! 起きて下さ~い!」
井出が目を覚ますと目の前に七海の顔があった。
「うわあぁ~!」
彼女と目を合わせると、彼は幽霊でも見たように驚きの声を上げた。
「あ~! 何、その態度! 傷つくなあ・・・。もう、朝ご飯片付けちゃおうかしら?」
目の前には緑のジャージを着て腰に手を当てた七海が立っていた。
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