第11話 ヒウム「呼ばれた人」
「長いお話を
ラヴィニアが謝意を示した後、「
この世界に初めて転移して来た「
小屋の中には小さな
赤ん坊が出現すると同時に「ホルビーの里山」を囲む五つの小山の頂上にも「黒い建造物」が出現した。喜んだホルビー族は召喚された赤ん坊を大事に育てた。そして赤ん坊は優しく
赤ん坊の周りに置かれていた様々な水瓶や壺、ガラス瓶や金属球の入った箱の中身は全て消費してしまっても、翌日になったら元通り一杯になっていた。それは300年経った今でも続いている。
ホルビー族は様々な富や
「実はね、私と
ラヴィニアはその人に会ったことがあるそうだ。流石に303歳は
「彼女は長生きだったわ。でも私が
ラヴィニアは親友の最後を
次に転移してきた「
身長は180cmを超えていて
やはり、この青年が出現すると共に「ドワーフの郷」の周囲に新たな「黒い建造物」が五つ出現した。今度は最初にあった「黒い建造物」の南側に半円を描くようにだ。「ドワーフの郷」の北側には峻険な山脈が
当然、ドワーフ族もとても喜んだ。青年を「神からの使い」として相応の地位を与えて大切に扱ったのだ。ホルビー族に次いで、自分たちの種族にも「神の祝福」があったのだ。当時は10日間ぶっ続けでお祭りになったらしい。
「この時のお祭り、それはもう盛大で楽しかったわ。沢山の花火が上がって本当に綺麗だったの。」
ラヴィニアは少女のような
クラウス・フォン・バルツァーと名乗る青年はプロイセンという国の地方貴族の三男坊だった。ポーランドという国を分割して新たな領地に
元居た世界には彼にとって楽しいことは全然無かった。だが、
彼は
「もうね、クラウスの屋敷に行ったら
ラヴィニアは当時のことを思い出して呆れていた。少し
ただ、クラウス青年がただの色ボケ男だったかと言うとそうでは無かった。彼が持ってきたマスケット銃や懐中時計はドワーフ族の産業発展に大いに役立ったのだ。また彼は工業に対する
「そして彼は
ラヴィニアは説明してくれた。まず、一つ目は「黒い建造物」の本
クラウスは「黒い建造物」の研究も熱心に行っていた。まず彼はドワーフ族の新しい「黒い建造物」に名前を付けた。すると自動的にそれは本稼働を始めたのだ。ちなみに名前は「
どうやら「黒い建造物」を本稼働させることを出来るのは「ヒウム」だけのようだった。それまではドワーフ族が幾ら操作しても「黒い建造物」を本稼働させることは出来なかったのだ。これが一つ目の発見だ。
後に判ったことだが、ホルビー族の「
ホルビー族も「
その点、クラウス青年は違った。美しい女性を
この男の面白いところは「美女を差し出せ!」ではなく「美しい女性が居たら紹介してくれ!」だったところだ。つまり
ただし、エルフ族の「黒い建造物」を本稼働させるときに少々トラブルがあった。本稼働開始の作業に入る前に、クラウス青年はまず紹介してくれる女性に会わせろと要求した。しかしエルフたちは紹介する女性を
「
代わりに適当な名誉職と金品を与えるから我慢しろと言う。クラウス青年は怒った。ウソをついてまで人を呼びつけておいて、何が「
ましてや付けて欲しい名前を聞くと「
「あ! 間違っちゃった! あ~、ゴメ~ン!」
彼はただ「
後日談だが、結局クラウスは紹介される予定だったエルフ女性を探し当て、猛烈に口説いてモノにしてしまったそうである。その執念には誰も
「あの頃は私もまだ
ラヴィニアは凄く残念そうに口を
「二つ目はね、簡単よ。
クラウス青年が
「でもね、面白半分に
ラヴィニアは遅刻を
クラウス青年が召喚される以前から
「当時のホルビーたちには『ヒウム』の血を引く人たちが沢山居たからね。今も『
平和利用する分には「火薬」は簡単に発火する。ただし他者を傷付ける目的の場合は様々な条件や制約が付く。それが
自己の生命を守る、もしくは誰かの生命を守るときだけは「火薬」を使った武器で「知性を持った存在」を傷付けても「ヒウム」は「火薬」を使う能力を失わなかった。
そもそも、「ヒウム」とその血を引くものでないと「火薬」を使った武器は発火すらさせられない。例えば、純血のエルフ族や獣人族が拳銃を撃っても全て不発なのだ。しかも「ヒウム」でも血が薄くなるにつれて「
ただし、少しでも「ヒウム」の血が入っていれば「花火」だけは扱うことが出来た。今では様々な種族が花火職人として活躍しているらしい。季節の区切り毎の「
次に100年前の「
ホルビー族、ドワーフ族に「神の祝福」があったからには次こそはエルフ族の番だろう。「都のエルフ」たちの期待は最高潮だった。
今度こそ、やって来た「ヒウム」に丁重に頼んで新たに追加される「黒い建造物」群に自分たちの望む輝かしい名を刻むのだ!と出現が予想される5基の建造物に付ける名前の公募まで行われたらしい。
「けれど、4人の『
ここには保安官事務所と隣にあった雑貨屋、
「黒い建造物」にはマービンが早々に「
その後、ここに現在の「保安官の町」が発展して行ったのである。
最初のマービンの妻、メアリーが3人目の子が難産で亡くなった後に後妻に入ったのがラヴィニアだそうだ。
そして今回の「
「流石に今回は『都のエルフ』たちは期待してなかったみたい。どちらかと言うと
肩を
「前の動乱が終わってから、そろそろ500年。前動乱の軍事的圧力は抜け切っていない。『都のエルフ』たちの
ラビィニアが井出と三人の女子高生たちに問いかける。『
「この300年の間にあった『ヒウム』の4回の転移は『第四次
彼女の説明ではこうだ。
「クラウスに聞いたけど、彼が元居た世界での地方貴族と言うのは警察権も持っていたそうね? だとしたら
様々な種族と意志を通じる「
これはもう「ヒウム」に課せられた「使命」が何かを明確に物語っていた。
「ここまで説明すれば納得して
ラヴィニアはキリリと引き
「次の100年後にはきっとあの丘の北か南に、また
彼女はフンス、フンスしながら
(100年後に来る「ヒウム」か・・・。ウラシマンでも来るのかな?)
井出にはどんな人間たちが来るのか
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