第2話 転移 三つの異変 アヤの場合
その日の朝は少し寒かった。12月の20日ならばこんなものだろう。晴れているし、朝のテレビの予報では午後の気温は12℃を超えるらしい。日中はいくらか過ごし易そうだ。
「新幹線の『のぞみ』って速いんやなあ! 東京駅、もうすぐやん!」
158cmという身長は、女子高生としては平均的だった。が、そのプロポーションは平凡では無かった。
明るい茶色に染め肩まで伸ばした髪、
普通ならこの上にブレザーの上着かカーディガンを
楽しそうに窓の外を
「あー、新幹線って品川でも止まってくれたら楽やねんけどなー。何で止まらんのやろ?」
そうこうするうちに東京駅が近づいてきた。アヤが乗る新幹線「のぞみ」10号は
「なんかエバ・・・なんちゃらヲンに出てきそうな電車やな。おねーちゃん、こういうの好きそう。」
そう
そして少しの寒さと風を感じた。視界の回復と共に周りの様子が徐々に判ってきた。さっきまで見上げていた案内標識は無く、代わりに何やら建物の姿が目に飛び込んで来る。良く見ると金色の花のマークがついていて、その下に漢字で「
「これ、もしかして『
アヤは姉が夏に帰省して来たときに一緒に観に行ったアニメ映画のことを思い出していた。まさか、あんな得体の知れない「
その時、建物の中に明かりが灯った。明るくなった室内に二人の人影が見えた。一人は青い制服姿、おそらく警察官だろう。もう一人はずいぶんと
急に怖くなった彼女は建物の入り口に
「あのぉ、こんばんは~。お邪魔します~。」
勇気を出して、引き戸を開けて
「良かったぁ~、ちゃんと人間のお
とうとう、アヤは声を上げて泣き出してしまった。
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