第4夜

 親友に言われて、歌を考えてみた


 でも、上手く行かなかった


 “彼女”のことが頭がいっぱいになって、涙が溢れて……


 でも、それだけではなかった


 もともと私達が作っていた歌は明るい曲が多かった


 どうしても今の私の“彼女”への想いには合わなかった


「今日もここにいたんだ

 部室だと思ったのになぁ」


 親友が扉から出てきて言った


「ずっとこの星空を見上げているんだ?」


「……」


「その様子じゃ上手くいってないみたいね」


「……っ」


「でも、もうすぐ学園祭だよ?どうするの?」


「……」


「私は学園祭で貴女の歌を歌いたいって思ってる」


「……ぇ」


「無理はしなくてもいいよ

 でも、私は本気でそう思ってる

 そのためにも練習はしてるしね〜」


 親友はあまりにも軽く言っているが、瞳の奥はすごく真剣だった


「……私には……」


 今の私は歌には真剣ではない


 かといって、“彼女”に対して真剣だとは思うけど、何か、何かが、違うような気がする


「まだ時間はあるよ」


 親友は練習を行うのか、扉に向かった


「私はあまり作詞はしたこと無いけど、一つね」


 親友は振り返って、こちらを見た


「今までは明るい曲だったけど、今回は別にそうじゃなくてもいいんじゃないのかな?」


「……!」


 それは、今まで思っていないもので


 でも確かに単純なもので


「やったことないだろうけど、貴女ならできると信じてるよ」


 親友の言葉で私の頭の中の何かが急に弾けた




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