追憶の夢3

 私はそれから毎日のように“彼女”とお昼を共にした


 私は“彼女”と少しずつ仲良くなって行くのがわかった


 初めは慣れなかった“彼女”のオーラも今は普通に会話をできるようになった


「ねぇ、今夜にここで一緒にお茶しないかしら」


 “彼女”からそんな申し出があった


 私は昼にこの屋上のテラスに来るけど、夜は来たことがなかった


「うん、いいよ

 でも、今夜なんて急にどうしたの」


 “彼女”はしっかりしているので、予定とかも余裕をもたせてた


 そんな“彼女”が今夜と言うのが意外だった


「今夜は流星群が見える日なの

 だから一緒に」


「?

 それは別に昨日のうちでも誘えたよね?

 なんで今?」


「……だって……」


 珍しく“彼女”がもじもじと顔を赤くしている


「?」


「……だって……貴女に断られることを考えると……なかなか言い出せないじゃない」


「えっ?」


 こころなしか“彼女”が不機嫌のように見えた


「じゃぁ、今夜にちゃんと来てよね」


 “彼女”は顔をそむけて紅茶を飲み始めた



――そして今夜――



 私は“彼女”に言われた通りに屋上のテラスにきた


「うわぁ……きれい〜」


 そこには空一面に星があった


「この辺りでも星が見れたんだ〜」


「なかなかきれいでしょ」


 “彼女”の言う通りだった


 私はあまり星には興味なかったけど、この景色は圧倒された


「ほら、あれが冬の大三角

 ペテルギウス、シリウス、プロキオン」


 “彼女”は星に詳しいのか指差して教えてくれる


 私はこの日から星が好きになった



 

 後に、星を見て悲しむことになるとは知らずに……




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