追憶の夢1

 私は寮のある女子高に通っている


 一人立ちするために寮生になることにしたのだが……結果はダメダメで、友人や寮母の手伝いあってなんとか生活出来ている


 寮母はとてもいい人で朝ごはんや晩ごはんだけではなく、お金はいるけど弁当も作ってくれる


 今日も弁当を作ってもらったが……


「ごめん!先に食べてて」


 寮に忘れてしまった


「わかった~気をつけなさいよね」


 友達に一言断って、寮に急いで戻る


(おばさんが作ったのちゃんと食べなきゃ)


 急いでいると寮が見えてきた


 ふと空を見てみると、寮の最上階のテラスに誰かがいたように見えた


(こんな時間に……珍しい)


 クラスの人の大概は寮生でも食堂で昼ごはんを食べるのが一般的だ


 私は気になって様子を見にきた


 そこには……


「あら、こんにちは」


 女神がいた


「こんな時間に珍しいわね

どう?一緒にお昼ご飯食べます?」


 “彼女”は微笑んで首を傾げた


 私はその微笑みにやられて、友達と一緒に食べる約束をほったらかしにした


「(コクコク……)」


 喋ることも許されないような美しさを持つ“彼女”に対して、私はただ頷いて“彼女”の隣に座った


「ふふっ、そんなに緊張しなくてもいいのに」


 “彼女”にそう言われても、絹のようなサラサラな長い黒髪、大きな瞳、抜群のスタイル、“彼女”のどこを見ても完璧だった


 だから私はずっと固いままで、“彼女”と何を話したか、お昼ご飯の味がどうだったか、全てあやふやなまま昼休みが終わった


 教室に戻ると……


「もう~お昼どこ行ってたのよ!

心配したわよ……って、何ボーっとしてるの大丈夫?」


 親友が文句と共に心配した


「……あっ、うん、大丈夫……」


 私の頭はずっと“彼女”のことを考えたままだった




 これが私と“彼女”の初めての出会いだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る