閑話

ユノside

馬車で意識を失った彼女を自分ではどうしようもなかった


咄嗟にクロードに声をかけたが、彼が施したのは一時的な治療に過ぎないとのこと


兄の普段の軽口は聞き流すのに今回に限ってはできないでいた



馬車で彼女が言った言葉が気になっていた。

もしかして…ティナは俺を独りにしないために焦っていたのではないかと…


そのとき異変に気付いていれば…気づいていたとしても手遅れだった可能性も高い

「どうして…俺を頼ろうとしなかったんだよティナ…」


横たえた彼女を見て無力な自分を責めた

「俺にもっと力があったら…」


俺にできることなら何でもするのにできない


誰でもいい…彼女を救う方法を教えてくれ


頼むから生きていてほしいから


俺の愛しい恋人を…どうか奪わないで


「…じ…ユノ王子!」

騎獣に乗っていてぼっとしていたのかクロードに心配をかけたようだ


「あ、あぁ悪い…」


あぁそうだったあの後フィトリーゼ様が救う方法を見出してくれたのだ


俺がしっかりしなければティナを救う方法を教えてくれたのに救えなくなってしまう


「俺が…しっかりしないとな…」


「姫様を救えるのは貴方だけですユノ王子」




そういって騎獣の速度を徐々に上げていった





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