第1話

……急げ、この場を……

……はい…ってます……



周りがドタドタと忙しなく動き回る


その音で私は目を覚ました

何事か、辺りを見渡す


私、赤髪の青年、チンピラ5人

寝転がる私たちから少し離れて囲むように佇むローブの男たち


足音の正体はその囲むローブの男たちの周りだった


辺りは暗く、コンビニエンスストアの光すら全くなかった


未だ足元しか見えないローブの男たち


下半身までは伺えるが、そこから上が見えない


仕方なく、立ち上がって近付こうとした



「──!?、しまった!魔術師!彼女を寝かせろ!」


「え、え?!本当だ!!なんで起きてるんだよ!!」


「はやくしろ!!」


怒号が飛び交う中、私は見てしまった


ローブの男たち、その1人

いや、それは人とは呼べない肉袋

なんてったって、下半身しかないのだから


破裂したかのように腹部から上が存在していなく、残った大腸と小腸が血溜まりの上でプカプカと浮いていた


溢れる血はローブを濡らし、足元に血を垂らしていく


「──う、オェェ!!」


非現実的な光景は嘔吐するには十分だった


なんで、ローブが真っ赤なのか、なんて考えてる場合じゃなかった


改めて周りを見渡す


暗闇に慣れてしまった私の視覚は、囲んでいたローブの男たちの下半身しかない状態を確認できるくらいにはなっていた


「ヒッ、い、いや……!」


「記憶改竄魔術も必要だな……おい!いつまでちんたらしているんだ!!」


「い、今かけます!というより魔術師は僕しかいないんですから勘弁してくださいよ!」


膝を落とした私にゆったりと迫る謎の空気が、安心感を与え、意識を遠ざけようとする


そう、意識は睡眠へと移行した


──────────────────


暗闇に光が灯された時、月光花こと私は目が覚めた


「チッ、お寝坊さんがようやっと起きたな」

「なぁ、そんなデカ乳貞子よりここ何処だべ?さっき居た場所じゃねーべや」

「知るかよンな事、なぁ赤髪のにーちゃんなら知ってんだろ?」


聞こえた声は3つだが、残りふたりは怯え、座り込んで帰りたい帰りたいとブツブツ言っていた


チンピラと思っていたが、どうやら仲良し5人組なだけで悪い奴らではないようだ


鬼ヶ島と呼ばれる赤髪の青年はこの状況を飲み込んでいるようで、ブツブツと呟いたり絶望の顔を浮かべたりは、していなかった


というより、前髪が長すぎて目元が見えない。

絶望しているかすら分からない


口元が笑っていたのは見なかったことにしよう


まず状況確認、辺りを見渡す

真っ白な石畳の床には赤黒い魔法陣が描かれ

真っ白な壁には幾何学的模様が重ね塗られている


なんてことはない、やばい所だ

でも、さっきの暗い──…あれ?私さっきまで何を見て……?


バン!と後ろからなにか開く音に私とチンピラ仲良し5人組は驚き、音のした方向を見る


「ごきげんよう諸君!はっは、そう身構えないでくれたまえ!」


見た感じ偉丈夫の男が、そこに居た


オールバックの黒髪頭にちょび髭だ、至ってシンプルに紳士的だ


着る服は……?見たことがない、昔の貴族が着る服だ


「諸君らは私が信仰する神が選別された『勇者』の候補として選ばれた!もちろん拒否権はある!!さぁ6人の戦士たちよ!立ち上が────…ん?7人いるぞ?どういう事だ?おい!」


「も、申し訳ありません公爵様…手違いか何かで1人追加されました…原因は追求しております…」


公爵の後ろで怯えるトンガリ帽の少年には見覚えかあったはずだが……記憶が無い


まぁ昔の記憶に似たような少年でもいるんだろう


偉丈夫の男と少年の会話に耳を傾ける


「チッ、使えんヤツめ……さっさと消えろ!」


「は、はいぃ……!」


あ、やばい、少年のおびえる顔ほんとかわいい犯したい


「…ゴホン!話が逸れて申し訳ない。改めて答えよう、君たちは”勇者候補”と成った!悪である”魔王”を倒し、この世界に平和を取り戻して欲しいのだ!」


異世界ファンタジーそのものだ、でもなんで勇者なんだろう?


「実を言うとね…この床、壁に書かれてある模様は次元転移魔術による応用でね、膨大な魔力を必要とする代わりに…そうだな、君たちがいた世界から別の世界へと行き来が可能なのだよ」


それを言った瞬間、鬼ヶ島くんが表情ひとつ変えず、握り拳を作った

ギチギチと音を立てて、石畳の床に血の雫を垂らしていく


なんで怒ってるんだろうか?その問いの答えはわからずじまいだった


「なので帰ることも可能なのさ、『勇者なんて嫌だ嫌だ!俺は元の世界に帰りたい!』て思ってる子はいるかな?いたら帰すことを誓おう」


帰還用の魔力まで準備してるなんて流石だなぁ、と思ってしまう


「は、はい!!俺帰ります!!こんなとこ嫌だ!!」


「ン〜、そうか。まぁ君が帰りたいというのなら!その意思は尊重しよう。他にいるかな?」


「じゃ、じゃあ俺も」


「け、ケンジ?!お前ファンタジーとか好きだったじゃねえか!」


「そ、そうだけどよ!なんか、や、やばい感じするんだよ!俺には無理だ……」


「ケンジ…」


「よし、じゃあ君もだね……他にはいるかい?特に、そこの、赤毛くん」


「断る」


鬼ヶ島くん即答だよ、肝が座ってるといえば座ってるけど…何も考えてないんじゃないかな、あれ……


「そうか……実に残念だ。では2人だね?私について来なさい。帰還用の魔法陣はこの部屋に書かれているものの反転バージョンだ、別室に用意しているのでね」


そういって偉丈夫の男は、2人を連れて扉の向こうへ立ち去ってしまった


が、1分足らずで男性が戻ってきた


「さぁ説明を続けよう……と思ったが、さすがにこんな部屋で説明するのも辛いだろうね、痔になってしまう」


男は煽てながらも続ける


「ついてきたまえ、美味しい料理も用意しているよ」


怒涛の勢いというか、この場からすぐ離れようとしたかったのか


偉丈夫の男と、私、鬼ヶ島くん、チンピラ3人の合計6人は、魔法陣と主張する幾何学的模様の部屋を後にした


──────────────────


「先程捌いた新鮮な家畜の肉さ、遠慮なくお食べ」


豪華なテーブルの上には大きく目立つ肉、そして周りを色とりどりの野菜が敷き詰められ、手前をパンが埋め尽くされている


米の類は無いようで、少しガッカリしたものの肉も野菜も新鮮で美味しかった


「この国は『アルタイ国』と呼ばれてね」


偉丈夫の男は、狭くなった机の上で無理に地図を広げる


「地図で言うと西に位置する。ここらへんだな」


と、簡単に自国を指さす


「その周りで今、厄介事が起きててね…なんでも魔物を使役する王が国の周りを占めているのだよ」


つまり四面楚歌ということらしい


「我らが崇拝する神は、『アルタイ国』の民では太刀打ちできないと予言を残していてね、それで”勇者召喚”を私たちに命じてきたのだ」


なるほど、と私は納得した


「しかし、魔物と戦うと言っても生き物との殺し合いだ。その行為を忌み嫌う人がいたって不思議ではない。現に今いない2人もそのうちだ」


だから帰ったのだな、と偉丈夫の男は付け加える


「そんな…ケンジ……」

「でもあいつ、動物とか好きだったからよ…」

「言ってたなそんなこと…」


仲良し5人組が3人組になると、ヘタレ度が増すのは珍しくもない


「まずは我々の自国から東の方向にある、『ニルバーナ国』の奪還を願いたい。そこで君たちの力量、能力を見計らい、布陣を固めようと思う」


「……?あの、その国の奪還が終わってからですか?」


自分の与えられた能力が分からないまま、前線投入なんて新兵の無駄使いだ


「ん?あぁ、そうだね…簡単な能力見分け装置が国の教会に設置されているが、性格や特技なんかは見分けられないからね。奪還前は簡単に後衛か、前線かに配置はさせてもらう」


となると女性の私は生産的であるから、後衛になる可能性はあるか


魔物とどんな戦い方をするかは知らないが、超遠距離攻撃がなければ後衛まで響くことは無いだろうと予想した


「支配している魔物の中には超遠距離攻撃が備わっている者もいる、後衛が配置する座標を知られなければ問題は無いが…」


予想は外れた、どこいっても死ぬじゃん


「では、食事が済んだところで小休憩を挟もう。その後に教会だ。私の屋敷以外にも勇者候補はいるので、街の教会で合流する可能性があるな」


首にかかったナプキンで口周りを拭く偉丈夫の男は、そのまま部屋をあとにしようとした


それを止めたのが鬼ヶ島くんだった


「悪ィ、オッサン」


偉い人だと思うんだけどなぁ…オッサンて……


「なんだね?赤毛の君」


「この国から排出される人的資源は幾つだ?まさか勇者候補俺らだけで魔物の王を倒せとは言わねえだろうな?」


あ、それは私気になった。作戦会議が後にでもあるから、今はいいかなーって思ってたけど


「それは後に説明するよ」


「今必要だ」


「…後でも十分だろう?」


「……」


「…ふむ、まぁ大勢とは言わないさ、君たちの底知れない力が、我が国の兵士達を巻き込んでは意味が無いのでね」


「何人だと聞いている。戦争するなら100以下なんてありえない」


「では100以上と言わせてもらおう」


「…わかった」


鬼ヶ島くん、もしや交渉は下手だな?

普通なら多く見積った後に減らしていくのが筋だが、戦争に100人はさすがに少なすぎない?


「質問はまた後で聞こう。そうだね…5分後に使いをここに送るので玄関まで案内してもらいなさい」


そう言い残し、偉丈夫の男は部屋をあとにした


「と、とりあえず食うだけ食おうぜ!」

「あ、ぁあ!腹が減っては」

「戦が出来ねぇってやつだよな!」


あのヘタレ組はローストビーフを頬張ってた


──────────────────


「公爵様、原因がわかりました」


「どれ、見せろ」


偉丈夫の男は、少年のような男から書類を奪う


「……っ!ふー……」


「やはりと言うべきですか、召喚対象の内包する魔力が我々より上回ると、生命魔力を削り消費されるようです」


「だとしても、だ…なぜ血を対価にしたんだ」


偉丈夫の男は思い出す

召喚の際に破裂した上半身の肉が片付ける最中に消滅したことを


そして残った下半身から溢れる血が、排水溝に流れ落ちるように消え、血の池すらも急速に床に染み込んで消えたことを


「それはまだ…なんとも」


偉丈夫の男はイラつき、書類を少年に投げ返す


「徹底して追求しろ!途中経過報告は良いが、妥協は許さんぞ!賢者の称号は飾りだけか!?」


「わ、わかりました!」


偉丈夫の男は屋敷の玄関へと向かい、賢者の少年は召喚儀式の部屋へと戻ったのだった


──────────────────


「ねぇ、鬼ヶ島くん…」


玄関に集まったあと教会への移動は、前の世界と変わらない『車』というタイヤ4つ、エンジンで動く移動手段で向かっていた


その内部で、私は鬼ヶ島くんに質問する


「なんだか、サクサク話が進んでたけど…これで良かったのかな?」


「…何が?」


「いや、そのさ…いや、私には両親がいたけど、なにも親孝行してないのが心残りだし…コンビニもすごく気になるんだよね、私たち二人抜けたらさ…」


「…大丈夫だろ」


「なんでよ」


「なんか、こういうこと予感してさ…俺の下っば…ダチに頼んでおいたんだよ」


「な、なんという…用意周到だね。私もそういう仲いいのがいたら良かった」


「後の祭り、気にしてもしょうがないでしょ」


「でも、戻った方が良かったかなって…すぐ帰れるって言ってたし」


「やめてた方が良いんでない?見境ないから」


あいつら…?あの屋敷の人かな?


「というより、あいつらじゃなくて…そういえば名前聞いてなかった」


「偉いおっさん、って認識でいいんじゃない?」


「それは、だめでしょ」


公爵ってどの位か知らないけど…すごい人なんじゃないかな?


「もうすぐ着きますよ、降りる準備をなさってください」


運転席から女性の声がした

玄関まで案内してくれたメイドさんだ


メイド風ではなく、マジモンのメイドさんだ


喫茶店みたいなコスプレ感のない佇まいは仕事に誇りを持ったオーラがバンバン出ていた


仲良し3/5人組も惚れてしまうほどだったから相当だろう


というより、メイド喫茶なんて前いた世界にはいなかったけどね



コンクリートで舗装された地面に足を着け、教会を見やる


なんてことはない、雑居ビルだった


「え、ええ…?」


「こちらでは教会の建物をこのように扮しています。万が一魔物が教会を見つけると怒りによる暴走で廃墟にしますので」


割ともろいのね、教会って


「武装した兵士はいますが、たかが知れてますので」


と、メイドさん

まぁだから私たちを召喚したのもあるからね…



教会兼雑居ビル内部に入ると、受付があるはずの場所に丸い玉が置いてあった


ファンタジーよろしく、これが噂に聞く、転生したらワクワクする要素の1つだろうと確信した


「では、どなたからでも構いません。手をかざして下さい」


「じゃあ俺から!」


と元気よく3/5人組の1人がかざす


遠目だが青いステータス画面みたいなのが表示され、メイドさんが説明しながら、教会の人が記録を録っていた


「では、次の方」


驚きがないところ見ると、その1人は平々凡々なのだろうと予想出来た


次も3/5人組の1人で、その次も同じだが、説明と記録だけだった


だが、3/5人組の反応は嬉々揚々としていたので、見てて和んだ


次は私


手をかざし、メイドさんの説明を待つ


すると、ステータス画面がバグったように表示されていた


「あの、これは?」


メイドさんは私のステータス画面を見て、説明しようとする


「?、あぁ、ええとですね、適正職業は裁縫職…ですね、数値も裁縫職に向いてます」


何を言っているのだろうかと、私はステータス画面に目を戻すと、ちゃんとした数字や適正職業が表示されていた


筋力は非力で、魔法関係はそれなり、器用の部分は高かった


おかしいかったのは最初だけなので、みんな初めはバグって表示されるものだと思い込んだ



私の後は鬼ヶ島くんだけだ

鬼ヶ島くんはいやいやな顔をしながらも手をかざし、私は覗き込もうとする


「月光花様、あまり近づいてはなりませんよ。プライベートですから」


メイドさんに怒られた

というかプライベートなら記録するなと言いたい


「こんなもので俺を測るか、救われねぇな」


鬼ヶ島くんがそう言うと、丸い玉が見事に砕け散った


割と高そうな水晶だったので、前の世界に置いてきたお金で弁償を、とか考えているとメイドさんが戦慄していた


「ヒッ、ば、化け物…っ!!」


んでもって記録係が


「武装兵!直ちにやつを拘束しろ!!」


言うとすぐさま階段から、エレベーターから銃を持った武装集団が鬼ヶ島くんを囲む


メイドさんは悲鳴をあげ、離れると同時にうずくまり、怯え始める


周りの武装集団も手を震わせながらも銃口を鬼ヶ島くんに向けて牽制する


「動くな!どこの国の魔物だ!!」


リーダー格の男が言う


私と3/5人組も離れ、状況を見守る


この場に味方が居ない鬼ヶ島くんが可哀想だったが、割込めば私まで化け物扱いされては困る


裁縫職なら後衛も間違いないだろうし、問題さえなければ死ぬこともないだろうと安堵な気持ちもあったからだ


なので様子見、傍観に済ませる

こんなのは日本人特有だ、なんら不思議ではない


「俺は魔物じゃねぇ、テメェらも監視カメラで見てたろ?至って普通の青年だ」


丸い玉を壊す時点で普通ではないと思う


「それにどうだ?上からの判断がねぇと発砲許可も降りねぇだろ」


「…っ!班長!発砲許可を!」

「待て!まだ許可が降りてない!!」


それより気になったのだが、なぜ彼らは銃なんて持っているのだろうか?


そりゃファンタジーでは魔法や弓矢が遠距離攻撃の主流となるが…


「班長!!」

「待てと…っ!……何?本当ですか!?」


何やらリーダー格の男は耳元に手を当て、驚いていた


「チッ!彼を拘束せよ!足掻けば発砲を許可する」

「なっ、わ、わかりました…おい!手錠を!」


他の武装兵が持ってきた手錠は少し昔の鍵穴があるタイプで、鍵は少し大きかった


なるほど、と私は納得した


勇者の召喚は頻繁に行われ、時代が過ぎると共に銃社会ここまで発展したのだと推測した


弓矢や魔法に頼っていた分、鉄や銅などの資源は豊富だったか、安く造ることが出来たのかもしれない


銃なんて型があれば量産は可能だし、火薬なんて生きた物から排出される糞なんかで補える


それが無くったって、魔法の力があれば火薬は不要か



なぜか大人しくなった鬼ヶ島くんは拘束され、連行されていった


「お、おい…やべえもん見た気がする」

「お、俺たちも問題起こさないように気をつけようぜ」

「なんで銃なんて普通に持ってんだよ…」


そりゃ発展したからねー、でも作りは粗かった気がしないでもない


「うーん…考えても仕方ないかな」


「うお!貞子のねーちゃんまだ居たのか!!」

「こえーよ!」


「まだって何よ…酷いねあんたら」


「いやだって、あの赤毛の兄ちゃんの腰巾着だろ?あんた」

「俺も思った、メイドさんが化け物扱いしてたのが気になるけど」

「貞子のねーちゃんも化け物じゃないよな…?」


「好き放題言うね…私は裁縫職が適正って言われたよ」


「「「本当かよ…」」」


「仲良いね、あんたら…それに私だけ明かしても仕方ないし、あんたたちも教えてよ」


「俺は戦士職だったぜ!斧振り回すぜ!」

「俺は弓を用いた遠距離職だったよ、銃使うんかなぁ…」

「俺は槍職ってやつだった」


前衛2人に後衛1人、なかなかバランスが取れていた




「貞子ねーさんはどうするんだ?裁縫職だと戦争すらできないっしょ」


鬼ヶ島くんが連行され、私たちは車に戻り、屋敷に戻るさなか、仲良し3/5人組の1人にそう言われた


「貞子じゃないから…まぁ、そりゃね…針でチクチク魔物倒すのも手間だし」


「倒すつもりだったんすね…」

「マジかよ貞子こぇえ」

「俺言動には気をつけよ」


「刺すよー?針でー?……まぁ、後方に飛ばされるだろうけど、君らのことは応援してるから」


「「「あざーっす」」」


「仲良いね本当」


屋敷に戻ると、メイドさんと偉丈夫の男に迎えられた


屋敷は大きいにも関わらず、メイドさん1人で家事をこなしてるのだろうか?



そんな疑問はつゆ知らず、偉丈夫の男は声高らかに出迎えの声を出す


「諸君!無事に帰ってきて何よりだ!……っと、1人いないようだね。寂しいかもしれないがこの4人で勇者を目指そう!」


”無事”、”一人いない”


この発言の裏には何があるのだろうか?


「さぁ屋敷に戻りたまえ」


「あーオッサン、俺ら以外勇者候補ってやつ?居なかったんだけど」


「む、珍しいな…時期がズレたか?」


「時期…っすか?」


「あぁ、とりあえず入りたまえ。説明は中でしよう」












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