苺の苦悩

「悠馬、何故ここがわかった?」

「何故って、そりゃリスタの痕跡を辿れば自然とリスタの元へ辿り着けるだろ」

 俺は契約の時に僅かながら魔力が見えるようになっていた。ただそれは本当に目を凝らして尚且つ自分に近い者にのみだが。

「のう、悠馬わしと一度戦ってみてくれんか?」

「いいよ。ただリスタ俺が勝っても負けても俺から離れた理由は話してくれよ」

「まあ、いいじゃろう」

 俺とリスタの戦闘が始まった。



「アンさんちょっといいですか...?」 

 私はアンさんの部屋を訪れていた。お兄ちゃんが居ない時にこういうことをするのは卑怯だと分かっているけど、どうしても私は確かめないといけない。

「苺ちゃんこんな時間にどうしたんですか?」 

 アンさんが目を擦りながら部屋から出てくる。そういえばこの人早寝早起きなの忘れてました。でも今更引かないのも事実なので、私は相談したい内容をアンさんにいう。

「お兄ちゃんの正体について知りたいんですけど何か知りませんか」

 私は占い師に言われたことをまだ気にかけていた。お兄ちゃんの仲間が入れ替わっている可能性、それはどういうことなのか。

「苺ちゃんその話詳しく聞かせて欲しい」

 アンさんがいつになく真剣な顔で私にそう言った。



「なるほど、つまり悠馬さんの中身が何処かのタイミングで入れ替わってる可能性があると?」 

 私は占い師から言われた全てを説明した。だけどアンさんは動揺するどころか極めて冷静だった。

「そうですね...。私は少しだけ心当たりがあるんですけど」

「それが私と出会った日、なのですね」

 そう、私はお兄ちゃんの中身が入れ替わったと思われるタイミングまでなんとなくわかっていた。

「はい、あの日からお兄ちゃんは明確に人が変わった気がしてました。普段のお兄ちゃんなら絶対に首を突っ込まないところに自分から行ったり、魔法を使いたがらなかったのに急に使い始めたりと」

「確かにそれを聞いてると、人が変わったように感じますね。ただ私は悠馬さんの中身が入れ替わっていようといまいと、大切なのは貴女の気持ちだと思いますよ。苺ちゃんはお兄さんの中身が入れ替わったとして今のお兄さんは嫌いですか?」

 私は考える。昔からお兄ちゃんは気が弱くて、それでも困ってる人を見捨てられない人だった。

 それは何も変わっていない。でも私はどうなんだろう。

「とりあえずこの問題は苺ちゃん、貴女の気持ち次第ですよ。私やリタ、それにケイビスは変わった後の悠馬さんに出会っているので気持ちの変化はないかなと私は思ってます」

 そう言われるとそうだ。私はどうすることが正解なのだろう。


————

昨日更新なしですいません。ちょっと色々とメンタル的に駄目になってました。また毎日ゆっくり更新していきますのでよろしくお願いします。

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ギャルゲの友人に転生した件~ヒロイン攻略RTAを決心した俺~ aoi @assinfony

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