リスタと旧世代
俺はリスタを探しにリスタが捕まっていたというところの跡地まで来ていた。ここは元生徒会長やゴエティアとの戦闘で建物や研究施設自体は無くなってしまったが、精霊1人が住めるぐらいの環境ではある。
「リスタここにいるのか?」
と呼びかけるも返事はなかった。仮に居たとしても1ヶ月近く行方をくらませていて素直に返事するとは思えない。
そもそもリスタは何故行方をくらましたのだろう。別に俺は彼女を失望させるようなことをしていない筈だ。頭をいくら回転させても辿り着けない理由に俺はモヤモヤとしていた。
私は何故あの時彼女にあんなことをしてしまったのだろうか。
生まれた時からその強い力のせいで1人だった私はある神に拾われた。
神と言っても今暴れているアホどもじゃなく、世代交代でその座を追われた神達だ。
平和な日常を過ごしていた私にとって神の世代交代をかけた争いはかなり熾烈を極めた。その争いはやがて人間界をも巻き込んでいくことになるのだが、今そこは置いておく。
結論だけをいうと旧世代の神はその戦争で負けた。
だが旧世代の神達も馬鹿ではない。負けた時の保険はかけていた。
例えばある者は魔導者に自身を封印して数百年後にしか封印が解けないようにしたし、ある者は自身の眷属に自身の一部を埋め込み再起を図ったりもした。いつか来るその時の為に...。
私も旧世代の神達の復活の為、この人間の世界に送られた。だけどある日人間の世界が2つに分かたれた。理由は新世代の神の横暴に対して信仰心を持たなくなってしまったというのが理由らしい。
ただ人間の世界は急に2つに別れた。そのせいで親と離れ離れになったり、片方の世界に存在していたはずの人間がもう1つの世界で見つかったりとそういうことが頻繁に起こるようになったいた。
かくいう私も大切なものをもう1つの人間の世界に置いてきてしまったのだ。いつしか私の目的は私を育ててくれた神をその座に返り咲かせることより、2つの世界をもう一度1つに戻すことになっている。
私は一体どちらを優先して行うべきなのかをずっと頭の中で悩んでいた。勿論、両方を解決できるのが一番いいのだが私にはそんな力は残っていない。
そんな時だ。強大な力を持て余している男の子に出会ったのは。
私はその子を利用しようと近づいた。人間に捕まった悲劇の精霊を演じて。
私は人間に捕まったことなどない。姿を消すことができるからだ。
ただ私の見込み通りその子は優しかった。私と契約をした後も色々な女の子を色々なやり方で救っていった。私もそれを見て少しでも力になりたいと次第に思うようになっていた。
だけど私は忘れていた。自分の体に神のかけらが埋まっていること、それに対して逆らうことができないことを。
気がついた時私は彼が救おうとしていた女の子を神獣フェンリルに変えていた。
私はそれを見て怖くなった。もしかして私はこれから先もこんなことをしてしまうのではないか、いつか彼にすらそういう魔法を放ってしまうのではないかと。
「わしも落ちぶれたもんじゃな...」
1人星を見ながら呟く。彼が私を見つけるのはかなり難しいと思う。だけど見つかった時は...。見つかった時はどうすればいいのだろう。
「リスタ、見つけたぞ。心配かけやがって」
今1番聞きたかった声が後ろから聞こえてくるのにそう時間は掛からなかった。
——————
遅くなりました...。すいません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます