【第四章 聖女】
聖女の伝説
ある日、俺はこちらの世界に伝わる伝承について調べていた。
何故かというとリスタからこんなことを言われたからだ。
「悠馬、聖女の伝説を知っておるか?」
「聖女っていうと人を癒したりとかそういうことをする....」
「まあ大雑把にいうと間違ってはないな。その後に神の狂信者とつくことを除けば」
「なんかそれすごい嫌な響きだな。でその聖女がどうしたんだ?」
「いやの、神が出現する時聖女も同時に出現するというこちらの世界で言われている伝承を思い出してたんじゃ」
「神が出現といえばリタの戦の神の件か?でもあれはただのレプリカ、模造品だったろ?」
「それが困ったことに少しでも強い神気を感じれば出現するんじゃよ。特に悪さをするというわけではないから探して会うぐらいはしてみてもいいんじゃないか?」
ということだった。
ラスタの知識だけでは不透明ということで俺はこうして足で色々と調べているというわけだ。
だがこの聖女の伝承には色々と不可解な部分も多い。例えば腕がちぎれかかった信者の腕が引っ付いたとか、明日余命を宣告された患者の病が治ったとか。胡散臭いといえばそこまでのものがたくさん出てきた。
問題はこれが伝承ではなく本当だった時だ。もしこれが神と一緒に闘っていては倒せるものも倒せなくなるだろう。勿論、これ以上そういうものとは闘いたくないが。
とりあえず俺はこの前顕現したであろう聖女を探すことにした。
聖女自体はすぐに見つかった。この化学が発展した町で法衣のような服装はかなり珍しいと言える。しかも路上に歩く人に向かって堂々と勧誘をしている。恐ろしく強いメンタルだと言える。
「すいません、少しいいですか?」
「はい!もしかして加入希望者でしょうか!?」
そういうことが絡むとかなりテンションの上がるタイプなのだろう。
「いえそうではなくてですね。少しお話をお伺いしたく....」
すると一気にテンションが下がり、こう断られる。
「申し訳ないのですが、私は神の信奉者を増やす為に生きています。つまり貴方に付き合っている時間はないのです」
「そこをなんとか無理かな?食事代とか出すからさ!」
クーと可愛らしい腹の虫が聞こえた。
「いいでしょう、少し時間の無駄ではありますが付き合います」
もしかしたらこの子かなり残念っ子なのかもしれない。俺はそう思いながら彼女を近くのファミレスへと案内した。
だが俺はそこで聖女の本当の恐ろしさを知ることになる。
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