【第3章 謎の女の子】
自身のルーツ
夢を見ていた。遠い過去、女の子と遊んだ夢。そうだ!確かこの子の名前は...。
俺はそこで目が覚めた。最近はいつもこうだ。寝ている時に見たことのあるような女の子と小さい時に遊んでいて、名前を思い出しそうなところで目を覚ます。そんな繰り返しだ。
「あの夢いったいなんなんだ...」
現実の俺の話なのかあるいは朝霧悠馬の記憶なのか。
そういえば俺はヒロインのことに関してはかなり詳しいしダンジョンのギミックや魔法なんかもそこそこ詳しいが、朝霧悠馬に関しては殆ど知らない。『アルカディアの明日』で設定が薄かったのが1番大きな要因な訳だが。
自身のルーツを知りたくなるのも人の性ということで俺は自身のルーツをこっそり探ることにした。
苺に直接聞くのが1番早いのでとりあえず苺に質問してみる。
「苺、お父さんとお母さんって確か今海外だよな?」
俺はギャルゲでありがちな設定で聞いてみる。実際朝霧悠馬の親がそうであるという保証はないが。
「そうだよ?何、お兄ちゃんお父さんとお母さんが恋しくなったの?」
俺は苺にそんなことを言われたので慌てて否定する。実の両親に会ったらいつボロが出るかわからない。
「いやそういうわけじゃなくてだな、最近顔見てないけど無事かなって」
「お父さんもお母さんも手紙が来るから多分無事だよ。メールは相変わらず使えないみたいだけど...」
なるほど、うちの両親はかなり機械音痴らしい。
「手紙といえば私の両親もそうですね」
とアンが言う。なんだ?俺の周りの親御さんは皆携帯が使えないのか?
「かく言う私も初めてメールで連絡したのが悠馬さんなんですが...」
アンが何故か少し嬉しそうに言う。
「私だってそうだよ」
何故か苺が対抗している。ここにこのままいると少し面倒なことになりそうなので俺は役所に行くことにした。
「すいません、朝霧悠馬の戸籍を確認したいんですけど」
「本人を確認できるものありますか?」
俺は学院生に配られる学生カードを見せる。
「はい、ありがとうございます。確認してきますね」
と職員さんが奥に引っ込んでいく。
暫くして帰ってきた職員さんは少し申し訳なさそうな顔をしてこう言った。
「すいません、朝霧悠馬さんの戸籍にはレベル5相当のロックがかかっておりまして私共ではどうしようもございません...」
「それって企業の社長さんとか国のお偉いさんがやっと確認できるレベルでしたよね?」
「はい、一般的に社会に貢献されているレベルの高い社長さんか何処かの王族ぐらいではないでしょうか」
王族か。アンなら見れそうだけど態々この為に頼むのもな...。俺は職員さんにお礼を言って役所を後にした。
しかし誰が俺の情報にロックをかけたのだろうか?常識的に考えるとアンかアンの実家だが...。
そんなことを考えながら歩いていると前から女の子が歩いてくる。いや何故この人混みの中で一人の女の子に目がいったかというとあの夢の少女を大きくするとそっくりなのだ。
これを逃すともう会えないかもしれない。
そう思った俺は衝動的に声をかけていた。
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昨日もたくさんの評価お気に入りありがとうございました!今日も頑張って二話更新です!
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