神域結界の破壊
光に飲み込まれた俺が居たのは周りが一面真っ白の場所だった。
「こんなところは『アルカディアの明日』にはなかったな。それとリタの魔法詠唱前、性格が変わってなかったか?」
あれが本性なのか神に憑依されたのかわからないが本性なら中々恐ろしいことで。
『断罪する』
「うおっ!」
俺は慌てて頭上から飛んできた光の矢を回避する。なるほどこれが模造天使の矢か...。
聖属性が付与されていることしか分からないが、恐らく『アルカディアの明日』と同じなら当たった部位を溶かすまではいかないが機能不全まではなるだろう。ちなみに本物の天使なら当たった箇所が肉体ごと溶ける。
俺はとりあえず頭上の1体を狩ろうと動く。がしかし体が思うように動かない。
俺は1つ思い当たる節があった。
「別領域での行動デバフか...」
『アルカディアの明日』の探索パートの難易度を上げていた要因だ。
人間は人間の領土で戦うとフルパワーを発揮できるが、例えば今のような神の領域で戦うと人間側にデバフが入るというものだ。
これは本来フィールド自体を破壊するとデバフが消えて無くなるのだがフィールドを破壊するには外からどうにかするしかない。内からはどうにもならない仕組みになっている。
「ちょっとまずいな。確か魔法の威力も下がるしこれは...」
俺はそうぼやく。実際少しまずい。この模造天使1体ならいいのだがリタが展開魔法は大規模なものだった。つまりこの1体の模造天使では終わらず、更に上の模造神まででくるわけで。
「アンとリスタが外から開けてくれるの待つ方が賢いか...」
俺はとりあえず少しだけ攻撃を避けながらアンとリスタを信頼して待つことにした。
私は光が発生した方へ急いで走っていた。何故ならそこには私のヒーロー、朝霧悠馬がいるはずだからだ。
『アン、少し落ち着いてワシの言うことを聞け』
頭の中に聞き覚えのある声が聞こえてくる。この声はリスタさんだ。
「リスタさん、悠馬さんがさっきの光に!」
『知っておる、みておったわい。いつもの悠馬なら1人でどうにかするんじゃが、今回は少しだけ問題があってな』
「問題ですか?」
『ああそうじゃ、今回悠馬が取り込まれたのは模造天使と模造神を生み出し続ける結界の方なものじゃ。通常人間が神と戦う時は戦闘を有利にする為に色々と準備をするのじゃが、今回はそれができなかった。だからアン、お前には外から結界に穴を開けて貰いたいのじゃ』
「穴、ですか?」
『そうじゃ、結界に穴を開けると結界自体の効力が落ちるのじゃ』
「でもそんな事私にできるのでしょうか?私は悠馬さんやリスタに魔法を教わりましたがその、まだ未熟です。そんな私に...」
『アン、お主やはり馬鹿じゃの?今の状態で悠馬を救えるのはお主だけじゃぞ。お主が1番あいつの使う魔法を理解してあるじゃろうが』
「確かにそうですね!悠馬さんの魔法に関しては苺ちゃんよりわかっている自信があります。リスタさんさっきは弱気なこと言ってしまってごめんなさい。私やります!」
『よく言い切ったものじゃの。じゃあまず、中心の光の周りの柱7本をへし折るぞ』
私はリスタさんの言葉通り、周り7本の柱を時計回りに壊していく。どうやらこれを壊す順番を間違えると結界は壊れないらしい。
『これでだいぶ弱くはなったがまだ強いままじゃな。ワシも力を貸すから1箇所に穴を開けるぞ。悠馬がありそうな場所はどこじゃ』
「ここです!微かに悠馬さんの魔力の痕跡があります!」
『...よくわかるな。わしでもわからんかったぞ』
なんでリスタさんは引き気味なんでしょう?不思議ですね。
『とりあえずここにありったけの魔力を打ち込め!』
私は息を整える。リスタさんの魔力が重なるのを肌で感じる。まるで隣りで手を添えてくれているような感覚に陥る。
私は風属性の根源魔法を結界に打ち込んだ。
《パリン》
結界の壊れる音がした。少しだけ見えた悠馬さんの顔を見て私は安堵した。あとは頑張って、私のヒーロー。
———————————————————
今日も二話更新しますよ!張り切っていきましょう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます