デートの約束?
「ちょっと待て。どうした急に?」
苺の部屋に入った俺は急に苺から抱きつかれた。俺は慌てて苺を引き離そうとするが離れようとしない。
「苺本当にどうしたんだ?」
「説明しにくいけどこのまま学院が始まったらお兄ちゃんが遠くに行ってしまいそうな感じがして...」
「どういうことだ?俺はずっと苺の近くにいるぞ」
あまりに不安そうな目でこちらを見てくるのでギュッと苺のことを抱き返す。
「ほんとうに...?だってお兄ちゃんもう私より魔法上手だし、大精霊さんとも契約してくるし、アンさんみたいな綺麗な人がいるし私なんて」
「苺、それ以上言うとお兄ちゃん怒るぞ。俺はリスタもアンも守りたいとは思うけどそれ以上にお前が大切なんだよ」
「そうらしいよ、2人共」
ん?2人共?
「悠馬はブラコンなのか?」
「悠馬さんが私を守りたいって...」
「なっ、アンさん帰ったはずでは...それにリスタまで!」
「私がお兄ちゃんの気持ちを聞いてみたくてちょっと仕込ませてもらいました」
と苺が俺にブイと指を向けてくる。
嵌められた。あれがまさか全部演技だったとは。
「でもね、不安だったのは本当なんだよ。お兄ちゃん私よりいつの間にか魔法上手くなってるしそれをリスタとアンに相談したらこれをやってみたらって」
俺は大切な妹に要らぬ入れ知恵をした二人の方をキッと睨む。サッと目を逸らされた。なるほど、こいつらが犯人か。
俺はポンポンと苺の頭を撫でる。
「俺もさっき言ったことは本心だ。お前が俺に助けを求めれば絶対どこにいても助けにいくし、お前が泣けば泣かしたやつは俺が泣かせる。そのぐらい大事に思ってるんだ」
俺は改めて苺にそう伝える。不安にさせていたことが事実なら俺が悪い。そんなことを考えているとまた横からいらない言葉が飛んでくる。
「のう、やっぱり悠馬はブラコンなのか?」
俺はリスタに無言でデコピンをした。
「おはようございます、悠馬さん」
次の日、目が覚めるとアンがもう来ていた。
理由を聞くと「まあ女の子同士じゃないと話せないこともありますし」とのことだった。さっぱりわからん。
それから1週間アンも苺もメキメキと魔法の実力を伸ばしたように思う。最初は初級魔法すら扱えなかったアンが俺とリスタの教育の甲斐あって上級魔法まで使えるようになっていた。
1週間皆がずっと魔法のことについて考えてたし俺もそうだった。しかし詰めすぎも良くない。そう思った俺はこう提案した。
「よし、明日は休みにしよう。アンも明日はゆっくり休め」
ちなみにこの1週間で呼び捨てを許可された。呼び捨てにしてくださいの懇願されたのが可愛すぎてつい、了承してしまったのだが本当に良かったのだろうか。
「それなら私お兄ちゃんと買い物に行きたい!」
「それもありだな。明日は一緒に出かけるか」
「そ、それなら私も行きたいです」
アンが控えめにおずおずと手をあげる。
「アンも来るんだったら時間制で交代するのはどう?」
と苺が提案する。
「いいんですか?苺ちゃんもその...」
アンが何かを言いかけるが苺がそれを静止した。
「いいの!明日お兄ちゃんは私とアンとリスタとデートすること!」
「え、わしもか!?」
若干置いていかれてるリスタ巻き込み俺の予定は完全に無視され、明日の日程が勝手に決まったのだった。
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昨日すごいpvとブクマが増えてびっくりしました。見てくださった方々ありがとうございました!
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