第5話 サソリの縄張り
何度でも言えるけど勝った後の休憩は格別だ。
休憩を終えた俺たちは遂に最下層を抜け出せた。
今は二層目を攻略中だ。そこには同類のスライムもいたな。
決して油断する事なく突き進んできたがここに来て新種のサソリが出始めた。
「サソリか。毒かな? それとも麻痺かな? どっちにしても気を付けないと」
サソリの尻尾に刺されると毒や麻痺に陥る事がある、確率論は知らないけど。
とまぁ俺の発言は措いといてだれよりも先に動くアダムがいた。
アダムは間合いを保つ為に跳び切りをしその後に後方跳びをしていた。
さすがは骸骨男だけに身軽だな。アダムはサソリの頭を主に攻撃している。
「ほっほ。
パルガスは地面から出てくる先の尖った岩を出現させサソリを倒していった。
一方のヒルダは俺を抱え込んでいて実に不便そうだ。その中で杖を扱い攻撃していた。
実に面目がないが俺は動きが遅い上にすんなりと攻撃が出来る訳じゃない。
ここで俺に期待されても困るだけだ。そもそも単細胞に脳が付いた程度だぞ。
「見えた! おい! また広い空間だ!」
アダムは一匹のサソリを倒してから言った。剣を振るいサソリを倒した
広い空間にはもう嫌な記憶しかない。超巨大なスライムや大蛇のような魔物がいるから。
今度はどんな魔物がいるのか。見当が付くとしたらサソリの大きい奴だろうな。出来ればもっと弱い奴の方がいい。
いや。ここはなにもいない方がいい。進み
「着いたな。さてはてここはどんな魔物がいるんだぁ?」
アダムは前回の闘いで勝っているから調子に乗っているな。頼りになるのはいい事だけど余り調子に乗らないでほしい。
とはいえアダムが先頭を維持してくれているお陰でパルガスとヒルダの間合いが取れている。実に男らしい。
「暗い。光の精霊よ。私に力を。閃光波!」
ヒルダちゃんの杖から眩い光が溢れ出ている。ああ。なんて眩しいんだ。まるで抱かれているような温かさ。
「おい! なんだよ? あの光はよ?」
うん? アダムが急に立ち
「ふむぅ。あれは――」
パルガスは宙に浮いているから先がだれよりも見えるみたいだ。だけどそんなパルガスでもなんの光かが解らなかった。
「お、おい! 逃げろ! 来るぞ!」
え? なにが? 肝心なところが抜けているが急に地響きが起き始めた。アダムが言うに早く逃げた方がいいらしいがどうも
「ひぃ!? 来る! 逃げなきゃ!」
え? ヒルダちゃんまで。あ。杖の明かりが消えた。うむむ。これは相当な出来事が起きているに違いない。ヒルダちゃんは背を向けたのでもうなにがなんだか解らない。ただ言える事は謎の地響きとなんかに追われていると言う事だ。
「ふぅー。どうやらここの通路を通る事が出来ないようだな」
気付いた時にはもう既に今まで辿ってきた通路にいた。はぁ。今回の魔物のせいで逆戻りだ。あの感じからして相当に大きい。
ふぅ。確かにアダムの言う事は正しい。どうやら通路と同じ幅で作られているようだからあの大きさじゃ通るのは無理だろうな。はは。
「ってパルガスは?」
あ。アダムが言うまで忘れてた。でもあの幽霊爺は半透明だから逃げる意味がないんだろうな。それと宙に浮けるから慌てる必要性もない。
「しつこいのう。そんなお主にはこうじゃ。それぇ!
なんだ? まるでパルガスがなにかと闘っているような
「ほっほう。止めじゃ。喰らうがよい。
またパルガスの声がした。この空間でなにが起きているんだ? 一体。とここでヒルダちゃんが呪文を唱え杖の先端に光を灯した。
おお! 視界良好! え? そこにいたのはなんと大サソリだった。それと宙に浮き今にも次の魔法を使いそうなパルガスがいた。
さらに驚きなのがパルガスの魔法と思われる超巨大な鉄槌が大サソリの頭目掛けて勢いよく振り下ろされていた。
凄まじい音と共に大サソリはその場に崩れ去りやがて光の粒子となって消え失せた。倒したんだ。はは。それも一人で。
「ほっほう。ざっとこんなもんじゃわい」
凄い、たった一人で倒すなんて。あ。でも待てよ。この強さなのに魔王に負けたのか。嘘だろ? それじゃあ魔王は規格外な強さなのか。
俺はもう既に青いが
なんせ魔王は俺に対して本気ではなかったのだろうからな。くそ。なんでもっと早くに気付かなかったんだ、舐められていると。
だけど過去を見ても仕方がない。今は休憩もなしに目指すらしい。実はだれも気付かなかったがここの空間に階段があった。次は三層目だ。
新生スライムでダンジョン攻略!~魔王の打倒を目指し今、動き始める~ 結城辰也 @kumagorou1gou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。新生スライムでダンジョン攻略!~魔王の打倒を目指し今、動き始める~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます