第3話 ダンジョン攻略開始!

 という訳で無事に三人? を仲間に出来ました。

 改めて紹介すると――

 剣使いのアダム、黒書使いのパルガス、杖使いのヒルダだ。

 そして俺――ぷるぷるぼでぃのシドだ。って俺だけ凄い劣等感!?

 

 おほん! 俺たちは魔王によって呪われ魔物になってしまった。

 アダムは骸骨男にパルガスは幽霊爺にヒルダはミイラ女に。

 そして最後は俺ことシドはスライムに。

 だけど俺たちは諦めないでダンジョンを攻略する事にした。


 そもそもこのよどんだ空気からするにまだここは最下層だ。

 攻略は始まったばかりだ。こんなところでくたばって堪るか。

 という訳で俺たちはデコボコながらにダンジョンを突き進み始めていた。

 さすがの俺はスライムで動きがとろいのでヒルダに運んで貰っていた。


「雑魚は俺に任せろ! お前らは突き進め!」


 おお。いきなりやる気がある発言をし行動に移したのはアダムだった。

 アダムは剣を操り魔物のスライムを切っていた。でもスライムの方が多いな。

 いくらアダムでも多勢に無勢だろう。ここは助けたいが――

 俺になにが出来る? スライムがスライムと闘うなんて滑稽こっけいだろうに。


「ほっほう。ここは儂の出番じゃのう。いくぞい。熱波炎ねっぱえん!」


 お? どうやらパルガスが先にいるスライムを一掃していた。

 パルガスの両手から炎の熱波が放出されている。実に熱そうだ。

 おお! さすがのスライムの大群も炎の熱波に弱いのか次々と倒れていく。

 こ、これが……元祖勇者組の力なのか。伊達に大賢者はしていないな。


「は!?」


 うん? 先に進んでいる筈のヒルダが勘付いたような雰囲気を見せ振り返った?


「危ない! アダム!」


 なにがアダムに迫っているのかが俺には解らなかった。だけどヒルダが言うにはアダムが危ないらしかった。ここからでは確認が取れない。


「でぇああ!」


 お? 脅威の身体能力だ。アダムは強制的に半回転し剣を振っていた。ここから考えるにスライムが後方にいたのだろうと思う。一瞬だけど青いのが見えた。


「その。なんだ。有難う! ヒルダ」


 凄い不器用なアダムがヒルダに感謝していた。心の中が顔に出てるな。実に照れ臭そうだ。


「はい! それじゃあ先に進みましょう!」


 なんだかヒルダちゃんは昔の仲間に戻った感覚なのかな? 凄く嬉しそうな声で言っていた。顔は判り辛いのはいといてと。


 なんだろうな。俺たちがいたところと比べてもいいくらいに広々とした空間に出た。天井が高くて暗いや。それに……なんか嫌な予感がする。


 なんだ? なんだ? スライムならあらかた片付けたけどなんだか囲まれてない? うん? しかもどこから湧いた?


「は!? 上!?」


 え? 上? 見上げてみてもなにもない。と言うか。見えない。


「ヒルダちゃん! 危ないのじゃ!」


 え? パルガスがヒルダを突き飛ばそうとしたが自身が幽霊である事を忘れていたみたいだ。すり抜けていった。


「まだだ!」


 今度は骸骨男のアダムがヒルダを突き飛ばした。ヒルダは大きく仰け反り転んだ。その衝撃で俺を離した。


 とそれよりもなんかとてつもなく大きな音がした。それと同時にまるで骨が上からの圧力に負けて鳴るような音がした。


 うん? ……って! アダムゥウウ!? なんという事だろうか。アダムが謎の物体の下敷したじきになっていた。


「ぐふ。俺は……もう――」


 アダムゥウウ!? ……ってあんたは骨がバラバラになっても大丈夫でしょうが! 不死身なんだから!


「ひぃ!?」


 ヒルダがビビるのも無理はない。こ、こいつは……超巨大なスライムだ。しかも――囲まれている。くそ! ここまでか。


「あ、諦めない! 光の精霊よ、私に力を。閃光雷せんこうらい!」


 急にヒルダは立ち上がり杖を掲げ閃光雷を唱えた。するとヒルダの杖から両目を焼くほどの眩い光が放出しスライムらの頭上に雷を落として一掃した。


「駄目。呪いのせいでこれ以上は」


 え? ヒルダちゃんがその場で崩れた。座り込み。今にもきつそうだ。呪いを受けると消費量が半端ないのかな?


「危ないぞ! シドや!」


 うは。超巨大なスライムが……跳んできたぁあ!? や、やばい! このままだと


「仕方あるまい! ここは! 禁術魔法! 時操停じそうてい!」


 え? 嘘。パルガスが唱えたら超巨大なスライムが宙に浮いていた。こ、これはきっと物体停止呪文だ。


「ほっほう。シドや。あとは頼んだぞい。儂は今少し眠ろうかのう。ほっほ」


 え? 嘘でしょう? 皆? ってそれよりも――。あ。なんとかヒルダちゃんは自力で抜け出したみたいだ。ほ。


なにもしていないのは俺だけだ。……くそ! やってやる! 俺はまずアダムのところまで転がっていきアダムの剣を銜えた。


 出来るかなんて判らない。だけど――俺がやるしかないんだ。その場で踏ん張り跳び続けた。そして天井にまで付くと凄まじい勢いで反発し始めた。十分に勢いをつけると宙に止まっている超巨大なスライムに対して連続跳躍切れんぞくちょうやくぎりを繰り出した。全ては――動かぬ内に。


「見えた! やってやる!」


 なにが見えたのかと言えば超巨大なスライムの体内にある核だ。どうやらこいつもただスライムを大きくしただけの存在らしかった。これは……行ける。


 俺はあらゆる壁や反発を使い切り超巨大なスライムの核を切りつけるつもりだ。逆に有難うな。跳んでくれて。


「これで……止めだぁあ!」


 言葉を選ぶ余裕なんてない。俺はただ単に無我夢中に眼前の敵を倒しただけだ。はぁ。ふぅ。なんとか俺は超巨大なスライムに勝つ事が出来た。


 超巨大なスライムは元素返りをし消え失せていった。今まで倒したスライムも同じだった。はぁ。はぁ。はぁ。


「あー駄目だ。俺も少しでもいいから休みたい」


 と言う事でこの空間で焚き火は出来ないが静かな自休をいそしんでいた。ここはまだ最下層だ。次の階層はどんな魔物がいるのだろうか。

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