最終話 富士山噴火
富士山が噴火した
二、三日前から異変があると言われていたが、ついに噴火したのだ
溶岩が漏れ出すのを見て、人々は裾野に向かって逃げ出した
同時にマグマがすごい勢いで噴出した
人々を追って、マグマが流れてくることはなかった
すごい勢いで噴出したマグマはその直径を噴火口のサイズに維持したまま、
上へ上へと飛び続け、対流圏、成層圏を突破し、ついには宇宙空間に達した
宇宙空間に達すると多少拡散したが、なおも同一方向に伸び続ける
その現象は何日たっても続いた
マグマの熱によって海水は蒸発し始め、沈没した日本列島の姿が現れ始めた
人々は歓喜する
各地で太鼓の音が鳴り、みな踊り狂った
野球選手の人は喜び勇んでマグマの中に突入してしまった
そんな悲劇もあったが、しばらくして人々はかつて自分がいた場所に戻っていった
噴火は一年後に収まった
富士内部のマグマを出し尽くしたのだ
マグマの熱を宇宙空間に奪われた地球は、寒冷期を迎える
悪天候による食糧不足で争いが頻発し多くの人々が死んでいった
熱は奪われ続け、地表は人が住む環境ではなくなっていった
生き残った者は富士の噴火口から内部に潜り、マグマの帰りを待つのであった
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