第14話 羅生門の上
二人とも地に尻餅をつき、
「あ~ビビった! あ~ビビった! なんだ、ただの死体か……」
「ちょっ! な、何で死体!? 何で死体が!? どこから!?」
「あ!? ……そりゃ羅生門の上から落ちて来たんだろ?」
下人は立ち
「羅生門!?」
「ああ、これだよ。見えてんだろ?」
下人は
「あそこの上から落ちて来たんだ」
「何で!?」
「何でって、引き取り手のない死体をあそこに捨てる奴がいるんだよ。
あそこなら捨てても誰にも文句言われねぇからなぁ……」
「そうじゃないわよ!」
「何が? ……ってアンタいつまで座ってんだ?」
「う、うるさいわね!」
「何であそこから死体が落ちてくるのよ!?」
「だから死体が捨てられてっからだろ?
あったま悪ぃ~なぁ?」
下人に先刻までの愛嬌は無く、
「あそこに捨てられた死体が自分で勝手に飛び降りたとでも言うつもり!?」
「そりゃあ……誰かが投げ捨てたんだろ?」
「誰よ?」
「そんなの知らないよ!
あそこに住んでる誰かじゃねえか?」
「人が住んでるの!?」
「ああ、なんだか分かんねぇのがな……
盗賊とかそういう連中が住んでるって噂だよ」
「ゆるせないわ」
「は!? 何が?」
「死体を捨てるのがよ!
もう少しで当たるとこだったのよ!?」
「いや、でもホラ、当たんなかったし、誰が捨ててるかなんてわかんねぇし?」
「今、コレを捨てたのは間違いなくあそこに居るでしょ!?」
「あ、ああ……うん……そうだね……」
「ヨシ! じゃあ行くわよ!!」
「え!? 俺も!?」
「アナタ、男でしょ!
か弱い女に行かせて自分は何もしないで逃げる気!?」
「いや、アンタ別に弱くねぇだろ?
だいたい今は『男のクセに』とかいうのはセクハ…」
「行くの? 行かないの?」
「…い、行きます、行きたいです、是非行かせてください」
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