第3話 荷造り

「何のためにそなたを育てたと思っておる?

 鬼ヶ島とやらから御宝がっぽり奪って死ぬまで豪遊するためよ!」


 おきなのたまひける言った事せむかたなくどうしようもなく思さるるに思い出してしまい桃太郎かぐやひめなやみき悩みました

 いかでどうしておのれわたくしが鬼ヶ島を攻めざらばならずやせめなきゃいけないの


「そうだ、予定より早いけど、月に帰ると言って家を出てしまおう。

 そして人目に付かない、どこか山奥へこもってが来るまで隠れていよう」


 かくしてこうして桃太郎かぐやひめは一人山にこもいそぎ準備始めきはじめました

 これにおどろきし気が付いた翁とおうな言ひける言いました


「おお、桃太郎ももたろうよ、いよいよ鬼ヶ島へ出立しゅったつか!」


 桃太郎かぐやひめ驚きおどろい言いける言いました


「違います。

 実はわたくしは月のみやこの・・・」


「皆まで言うな、分かっておる分かっておる」


桃太郎ももたろうがやる気を出してくれて、私も安心しました。

 これでお爺さんと二人、安心して隠居できます」


「待ってください、わたくしは・・・」


「安心せい、わしらとてそれほど欲深よくぶかではない」


「そうですよ、何も鬼ヶ島の宝全てを持って帰らなくても良いのです。

 高そうなのを見繕みつくろって、大きい葛籠つづらに一つ分ほどもあれば・・・」


 とて、翁と媼、いと嬉しさうとても嬉しそう言いける言いました


「待って! わたくしに鬼ヶ島など行けるわけがないではありませんか!」


「心配無用じゃ」


「そうですよ、お爺さんもちゃんと考えてらっしゃいます。

 お前ひとりだけで行かせたりしません」


「・・・どういうことですか?」


「ふふふ、付いてまいれ」


 とて、不敵に笑ひて笑って桃太郎かぐやひめをば連ねて家より出でたる連れて家から出ました


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