第2話 成長

 この養ふやしなうほどに、すくすくと大きになりまさる大きく成長した

 三月ばかりになるほど三か月ほど経つころに、よき程なる人になりぬればいい感じに成長したので、鉈をばさずけ、超次元流抜刀術ちょうじげんりゅうばっとうじゅつをば仕込みたる教えました


「立てぇ!

 そのような太刀筋では鬼どころか、竹の一本とて斬れまいぞ!!」

「お、お爺さま、何故なにゆえわたくしがこのような・・・」

「つべこべ抜かすなぁ!!」


 とて、手に持ちたる割れ竹振るいて振り回して、足元をば叩きける叩きました

 その形相ぎょうそう、まさに鬼のごとしようです

 山々の木々も草花も、いと戦慄わななたるます

 桃太郎かぐやひめいみじくも激しく泣きながら、なおそれでも鉈をば振るいたる振りました


 この鍛ふきたえるほどに、よくよく強きになりまさる成長した

 三月ばかりになるほど三か月ほど経つころに、よき程強兵になりぬればいい感じに強くなったので、免許皆伝認めたるました


「桃太郎よ、よくぞここまで強うなった」

「お爺さま、何故わたくしにこのような・・・」

わしにはこいつを振るう以外なにも出来ん。

 そなたに授けることが出来るものがあるとすれば、抜刀術これだけじゃった」


 ここら大きさ強さまで養い奉る心ざしこんなに大きく強くなるまで育て上げた愛情おろかならず並大抵のことではありません

 おきな器用ならざるも不器用ではあるけど与へらるるもの全てを与へ給ひけり与えられるもの全てを与えてくださったのだと、いまさらのごとく思ひ出でてあはれなりければ思い出してしみじみ心打たれ桃太郎かぐやひめいみじくも感じ入りたり深く感動しました

 翁のなほもさらに続けてのたまひぬ言いました


「出来得るものなれば、儂とて魔法や錬金術を授けてやりたかった」


「は? 魔法?? 錬金術???」


「我が超次元流抜刀術ちょうじげんりゅうばっとうじゅつに加え、魔法や錬金術などのスキルがあれば、一人でも攻略できたであろうが・・・」


「攻略? 何を仰せになりますか?」


「取り分は減るが致し方ない。

 スキルの足らん分は手下を集めて補えば良かろう」


「取り分? 手下???」


「何、心配は要らん。

 桃太郎とて異世界転生者ならば、チートスキルの一つや二つ隠しておろう」


「お爺さま、転生者かどうかはともかくチートスキルって・・・」


「適当なの見繕みつくろってパーティー組んで、鬼ヶ島を攻めて来るが良い!」

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