竹桃取太物郎語

乙枯

桃太郎の生い立ち

桃太郎が旅立つまで

第1話 桃太郎誕生

 今は昔、竹取たけとりおきないふ者ありけり言う者がいました

 野山のやままじりて分け入って竹を取りつつ、よろづのいろいろなことに使いけり使ってました

 名をば讃岐の造さぬきのみやっことなむ言いけるいいました

 その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありけるひかる竹が一本ありました


「はて、面妖めんような・・・」


 あやしがりて不思議に思って寄りて見るに近寄って見ると筒の中光りたり竹の中が光ってました


「ふっ、我が斬鉄剣流星丸ざんてつけんりゅうせいまるに斬れぬものなし。

 超次元流抜刀術ちょうじげんりゅうばっとうじゅつの腕前、とくと味わうがイイ!」


 とて、翁、手に持ちたる持っていた鉈をば一閃いっせん振るいける振りました

 ひょうと鳴りてヒュッと音がして、竹は見事に断ち斬られたり斬られました

 その切り口をば見たりければ覗き込んでみると、内に三寸ばかりなるずいぶん小さい人、いと美しうて居たりとてもかわいらしく居ました

 その人、翁を見たりて言ふやう言いました


「わたくしの名は、なよ竹の神楽耶姫なよたけのかぐやひめと申・・・」

「よし!そなたを桃太郎ももたろうと名付けよう。」

「え、いや、わたくしの名は・・・」

桃太郎ももたろうだ、?」

「・・・あの・・・」

今宵こよいりゅうせいまるは血に飢えておる・・・」

「・・・・・」


 かざしたる鉈の刃の、の光をばうつしたりて、まばゆきほどにかがやきたるいていました

 翁のあまりの気魄きはくおののきおびえて、思はず思わず桃太郎かぐやひめ押し黙りにけり押し黙ってしまいました

 桃太郎かぐやひめをば手に入れて、家へ持ちて来ぬ持ち帰りました

 妻のおうなに預けて養はやしなわす。

 うつくしき事かぎりなしとても可愛くて仕方ありません

 いと幼ければとても幼かったのでかごに入れて養ふやしなう


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