第3話

しかし・・・

河内さんは、もっと可愛かった印象があるが、目の前の河内さんは、程ほどという感じだ。


思い出は、美化されるのか?


アイドルというのは、その社交性からだが・・・


「森山くんは、今日はどうするの?」

「帰るよ」

「帰宅部だったよね?」

「悪かったな」


そう、僕は帰宅部。

どこも入れてくれなかった。


存在を拒まれていた。

それは、未来でもそうなのだが・・・


互いの嫌いな人を見つけて、そいつの悪口を言い合う。

そして、一緒になっていじめる。

それが、てっとり早い、そして、確実な友達の作り方。


僕はそれを、10代の頃に既に知った。


人間、自分に対する法律と、他人に対する法律は変わるのだ。

特に日本人は、その傾向が強い。


「森山くん、何悟ってるの?」

「いや・・・何でも・・・」

「なら、今日付き合ってよ」

「断る」

「だめ。行くの」

「拒否権は?」


河内さんは即答する。


「ありません」


あっそうですか・・・

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時空の中で 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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