第3話

近頃講演などを視聴していると唐突にホモサピエンスがと言い出す大学教授が複数いた。この人達はユヴァルノアハラリに強く感化されたに違いないとLiberioは感じた。テレビで見るユヴァルノアハラリは凄く知能指数が高そうだ。でも著作は主にジャレドダイアモンドからの引用だ。それ以外にも、例えば『サピエンス全史』書かれている、虚構を共有主観とすることで成立した認知革命は吉本隆明の共同幻想の引用だ。他にも様々な名著からの引用が潜んでいそうだ。引用をアレンジして再構成しベストセラーを完成させるユヴァルノアハラリの能力は非凡だが、それに傾倒してホモサピエンスがと言い出すのは恥ずかしい、気を付けよう、人の振り見て我が振り直せだとLiberioは思った。そしてユバァルノアパクリと茶化したくなるのはもっと悪い癖だと自身を戒めた。

 世界の最高知性の名著を読むことはとても有益だと分かって来た。内容を日々の活動に生かせるからではない。脳のどこかの部分が刺激されて普遍的に直観力が向上するからだ。霊感に近い所まで開発されつつあると期待混じりで思った。オカルトの分野で霊感開発法について書かれた本を読んでも全く何も進歩しないのにとLiberioは随分無駄な時間を費やしてきたことに気付いた。

 直観力向上で、この国はゆっくりだが着実にソフトなジェノサイドの道を歩んでいるのではと感じた。ジェンダーフリーやダイバーシティ(Diversity 多様性)脱線するけど、差別発言の問題が起こった時、決まって混血のテニスプレーヤーにコメントを求めるのは差別の最たるものだとどうして誰も気付かないのだろう。浅はかなマスコミ。

 ジェンダーフリーやダイバーシティ、温室効果ガス削減や脱炭素、ゴミの分別やレジ袋有料化、近年の潮流の全てが国民の経済活動を委縮させ貧困化と少子化に繋がる。それに国土の汚染や隣国の軍備増強、今回のパンデミックが追い討ちをかける。いつまでたっても航空機は作らせてもらえないし、先の大戦に負けた時点でプログラムは設定済みなのだろう。ジェノサイドを先延ばしする方法は大国同士の冷戦を維持することだ。宗主国におべっかを使いながら敵対国に援助を横流しする。宗主国は遠いが敵対国はお隣だし。みんな分かっていて言わないだけだ。

 ジャレドダイアモンドの『昨日までの世界』を読み始めたが上巻の第2部(平和と戦争)の解説が精密過ぎて停滞し前に進めなくなった。掛け持ちで読んでいる本が終了し、読み易そうな次の本に手を出すと『昨日までの世界』を読むスピードが更に落ちる悪循環になった。取り敢えず掛け持ちで読んだ中から印象に残ったものを整理しようとLiberioは思った。

 『100分で名著 カール・マルクス 資本論』

著者の斎藤幸平(経済思想家 大学准教授)の顔写真をLiberioは新進気鋭という言葉が相応しいなと軽い嫉妬と羨望、そして自分にはこのような立ち位置はもう得られないのだという諦観の念を持って眺めた。

 マルクスの資本論は難解ゆえに解釈の余地が大きいらしい。Liberioはノストラダムスの大予言を連想した。でもあれは難解ではなく曖昧だった。近年MEGAという国際プロジェクトが進められ既刊の著作のみならず草稿やマルクスの書いた新聞記事、書簡、メモ書きや研究ノートを網羅し隠れていたマルクスの晩期思想が明らかになった。エコロジーと原古共同体への関心があり、持続可能で平等な社会、拡大しない定常型経済社会を構想していたことも分かった。水や森林あるいは地下資源といった根源的な富はコモンとしてみんなで管理しよう、対価を求めず分かち合いや助け合いの相互扶助によって豊かさをシェアしていこうと考えていた。

 斎藤幸平は最終章でアムステルダム市が社会的基盤(エネルギー・水・食料・教育・民主主義・住宅など)を商品化する新自由主義者やグローバル企業に対抗して脱成長型社会に転換していくことを決めたと紹介している。

 この世には他人より多く所有したいとか、悪意や嫉妬でもって人に悪さをする輩がいっぱい棲息しているのに無理だろうとLiberioは思った。

 『競争力 三木谷浩史 三木谷良一』2013年9月5日 第一刷

真偽は定かではないが(ネットで見つけたものは)ビルゲイツの愛読書だそうで読んでみようと思った。

 楽天の創業者でテレビで見慣れていたけど闘士型の体格をした人だなとの印象だけで興味を持ったことはなく経歴を初めて知った。岡山白陵が合わず市立朝霧中に転校、明石高、一橋大学、興銀。御父上の三木谷良一はハーバード大学留学、神戸大学経済学部教授と立派な方だ。

 内容のほとんどはこの国の低迷の原因についてで、ぼやきに近い。

① 終身雇用と生え抜き経営者が硬直化の原因。雇用の流動化つまり容易く解雇出来るようにすることと、ホワイトカラーエグゼンプション(役職手当を与える替わりに労働時間の規定などの適用を除外する)が必要。

② 人口減少と参入障壁が高く外国人が働き場所が少ない。移民を増やし、英語を第二公用語にして特にアジア系外国人に活躍の場を与え観光客も増やす。

また韓国のように他のアジア圏からお嫁さんを迎えて子供を産んでもらう。

③ 公務員コストが高い。行政サービスの年間コストがGDPの23.1%、この数字はヨーロッパで高いと言われるドイツの21.2%を上回る。公務員数を半減し電子署名の導入などで業務の効率化を計る。

④ 法人税率の高さ

⑤ 公共料金(電気料金)が高い。経産省と電力会社それに反社を含む周辺企業が一体となり地域独占をしているせい。放送局の県域免許制度も同様。

⑥ 独自基準を用いた保護政策、国際基準を採用しないので国内でしか通用せず海外との競争に負ける。例えばテレビの4Kや8K。ガラパゴス化と言われる。次世代ネットワーク(NGN)インターネット接続にコントロール機能をつける仕組みで、ルーターやサービスサイドが仕様に適合させなければいけない。中国はNGNのIPアドレスを書き換える技術を使って接続制限をしている。

⑦ メディアコントロール。記者クラブを使ったり、放送局に周波数帯域を独占使用できる巨大既得権益を与え、ハイビジョン化でチャンネル数を増やさないようにしてコントロールしている。

⑧ 官僚の権力肥大の弊害をなくすためにポリティカルアポインティ(省庁の長官や事務次官は民間人がやり政権交代で入れ替わる)の導入を提言している。

中国のネット検閲に我が国のガラパゴス技術が役立っている話には笑ってしまった。新自由主義者が全て悪党ではなく三木谷君は良い人だと思われる。金剛力士像のような三木谷君が既得権益の闇にひそむ魑魅魍魎どもに苦しめられている姿が目に浮かび長生きできないだろうなとLiberioは同情した。

 『LIFE 3.0』 マックステグマーク

マサチューセッツ工科大学教授 理論物理学者 宇宙論の研究者 『数学的宇宙仮説』を論じた人

プロローグは架空の組織オメガズが開発したプロメテウスというAIが世界を支配する過程の話だが、これが創作だと気づいたのは話の終わり間際だった。

第1章 宇宙は素粒子の高温高密度のスープから始まり、陽子と中性子が結合してヘリウムの原子核となった。原子核と電子が結合して原子ができ冷えて暗く冷たいガスとなり、1億年の暗闇が続き、重力によるゆらぎで最初の恒星や銀河が作られ、水素の核融合によって炭素や酸素やケイ素を作りながら熱と光を発生させた。ある時点で自らを維持して複製できる複雑なパターンの原子配列ができ生命が誕生した。生命を洗練度(進化)に応じてレベル分けし、

ライフ1.0 細菌

ライフ2.0 人 学習によって高い知能を持てる ソフトウェアをデザインしアップデートする

ライフ3.0 ハードウェアもデザインできる 汎用人工知能(AGI)が産み出す

ここまで頑張ってきたけれど、Liberioには難しすぎる本で理解も要約も不可能で流し読みながら頭に引っかかった部分だけを書き出す形になった。

クオリア:主観的経験(意識)の個々の実例

シンギュラリティ:知能爆発

ハンスモラヴェックによる人間のランドスケープ:コンピューターにとっての難しさが標高で表されている。芸術、執筆、AIの設計の標高が高い。

AI時代に子供に薦める職業:教師 看護師 医師 歯科医 科学者 起業家 プログラマ エンジニア 弁護士 ソーシャルワーカー 聖職者 芸術家 美容師 マッサージ師

消える職業:レジ係 運転手 弁護士補助員 税理士

失業対策:ベーシックインカム(お金の支給)

道路や公共交通機関や保育や教育、医療や高齢者住宅やインターネットアクセスなどのサービスを無料で提供、または補助金を支給する『百分で名著 カール・マルクス 資本論』のコモンと同じ発案だが趣旨は正反対だとLiberioは思った。

278頁 ラッタイド:技術進歩をストップさせたり放棄したりする

284頁 オムニサイド:全人類の皆殺し

核の冬:核戦争後に何年間も気温低下して食料生産の大部分が失われる

上空400kmで水爆を爆発させると強力な電磁パルス(EMP)が発生し広範囲の送電線や電子機器が使えなくなる。インフラが麻痺して動かなくなった自動車で道路が塞がる。水道が使えず3~4日で死者が出る。

第6章 宇宙からの恵み

フリーマンダイソンという物理学者のアイデアで太陽を取り囲む球殻状のバイオスフィアに人類が住むダイソン球の説明はLiberioには理解不能だった。太陽の放射圧と太陽の重力が相殺する距離に超軽量な炭素シートで作った静止衛星(スタタイト)を並べるそうだが、挿し絵でもないと想像もつかない。300頁にある挿し絵はジェラードKオニールが提唱した円筒形のコロニー(オニールシリンダー)で子供のころに読んだ『未来の図鑑』に載っていたものと似ていた。ホモサピエンスは地球の資源を食い尽くし環境を回復不可能にまで破壊して宇宙空間に居住せざるを得ないだろう。これこそが真のSDGs(sustainable development goals)だ。居住が安定するまでにはコロニーごと潰れて多数の犠牲者を出すようなアクシデントも発生するだろう。

ブラックホールの蒸発や自転はパワープラントになるし、ブラックホールに落ちていく物体からエネルギーを取り出せるそうだ。

星間空間は完全な真空ではなく、ところどころに水素イオンが漂っている。

宇宙船につないだ巨大な超軽量セイル(帆)にソーラーパワーで発生させた強力なレーザーを当てれば、かなりのスピードまえ加速させることができる。

第8章 意識

身体は10の29乗個のクオークと電子からできていて、それらの粒子は単純な物理法則に従って運動しているかぎり、意識的な心と動きを司る能力は魂とは無関係となる。

著者は意識は創発現象(水が液体や固体に変化するような多数の分子が並び方の違いで異なる性質を持つ)であると考えている。

 

 断続的に緊急事態宣言が発令され、人が集まる施設の閉鎖や時短営業が行われる。世間はコロナ慣れして異常事態とは感じなくなる。もう既に世間の奥様方は「次の変異型はどこから来るのかしら」などとのたまっているだろう。先の大戦時、井戸端会議でご婦人が空を見ながら「B29はまだかしら」と言ったように。コロナウイルスは変異を繰り返し、年に2~3度感染のピークを作りながら蔓延り続ける。私達は毎年インフルエンザとコロナの混合ワクチンを打つ。重症化を防ぐ薬ができるまでは会食や集会は制限され関与する業界は不況に苦しむ。

 重症化と後遺症の両方の仕組みを持つ嫌らしい新型ウイルスが普通感冒の原因に加わりました。その性質は

① 自然免疫と獲得免疫のバリアをかいくぐる

② IL6が増加してPAI‐6が放出され血栓形成しサイトカインストームをおこす

③ ウイルスは血管内皮に侵入し血管炎をおこす

④ 様々な自己抗体ができて後遺症の原因になる

 誰か(国家)がバンドラの箱を開けてしまったのでしょうか。

ワイドショーでコメンテーターがコロナについて同じ話ばかりしているのがうんざりと言う人が増えている。

Liberioにもワクチン接種票が送られてきた。どの病院に電話しても話し中もしくは不通になっている。窓口に行くと「締め切りました。次回は未定です」と言われる。玄関に【受付していません】の貼り紙があったりする。ワクチンが不足しているの?戦後76年目にして敗戦国の惨めさを味わうのかとLiberioは嘆息した。先の大戦の敗因と責任者を自国民の手で徹底的に洗い出す必要がある。これを経ないといつまでもまともな国になれない。これを公約に掲げる野党に政権を担わせたらどうだろう。

 宗主国に実効支配されている限り消費税廃止もオリンピック中止すらも無理なんだからとLiberioは腹いせを収めた。       

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