第6話 薬草採取
「それで、冒険者ギルドについて説明しようと思います。」
「あっ、よろしくお願いします。」
「まず、冒険者カードの右上にFと書かれていますね。」
「はい、これはなんの記号なんですか?」
「これは、冒険者ランクと言って、まぁいわゆる地位のようなものを表します。地位が高い記号から順にSS→S→A→B→C→D→E→Fとなります。」
ふむ。素材のランクとか色々聞いていたけど、Sの上は無かったよね。冒険者ランクにはSSがあるんだ。
それで、始めたばかりの僕は1番下ってことか。なるほどなるほど。
「それで、依頼についてなんですがあの掲示板を見てください。すると、そこにはいろんな依頼内容が書かれています。この中から依頼を選んで達成することでお金を獲得することができます。また、別の方法としてなにかモンスターを討伐して討伐を証明することでお金を獲得したり、モンスターの部位などを売ることによってお金を獲得することができます。その他のことを言うとすると薬草採取など色々あるので省略させていただきます。詳しく知りたい方は後でまた。」
「はい、わかりました。」
「それで、注意点なんですけど依頼にもランクがあります。そのため、自分の冒険者ランクの同等、またはそれ以下の依頼を受けることができます。」
へぇー。ということは、今Fランクの僕がなにか依頼を受けようとしても、Fランクの依頼しか受けられないってことだね。
「そして、してはいけないことについてです。禁止事項として、このような物があります。」
・冒険者登録者どうしで問題を起こしてはならない。
・依頼を偽装するような行為を起こさない。
・冒険者である以上、冒険者ギルドのルールを破ってはならない。
などなど。
「………と。これで終わりです。良き冒険者ライフを。」
「ありがとうございます。では。」
とりあえず、さっそく掲示板の方を見てみることにした。もしかしたら、いい依頼があるかもしれないからね。
「どれにしようかなー。」
ラビットを討伐せよ
ラビットの肉を収穫せよ
ラビットが村を襲撃→退治せよ
ラビットの……
ラビット多すぎ………。ん?
薬草採取
薬草採取か。面白そうだね。ラビットと戦うのもワクワクするんだけど、ナイフだけで戦う勇気なんてないし……。やっぱり最初といえば薬草採取だよね。なんか、初心者って感じがするよ。始まりって感じだ。
「………よしっ、これにしよう。」
僕は、この依頼を受けることにした。そして、従業員さんに受託してもらうとさっそく従業員さんに森の浅いところによくあると言われたので森に向かうことにしたのだった。
ふぅ。着いたー。これはオンラインゲームで本当は動いてないっていうのにすごい疲れた感じするー……。
これだけの感覚を実際に感じさせたように見せるって、本当に努力したんだろうな。
そんなことを考えながら息切れしている息を抑えるように深呼吸をする。
「………ふぅ。じゃあ、さっそく薬草採取といきますか!」
今回採取する薬草は『ヨモギの葉』というものだ。確か、現実世界でのヨモギは日当たりのいい山野の草地に結構あったよね。
「現実世界の知識も参考にして探してみるか。」
確か、ヨモギの葉っぱってギザギザしているやつだよね。ここの葉っぱはそういうふうなのは見当たらないね。
うーん、薬草採取も難しいんだね。でも、面白いからいいけど。
「見当たらないなー……」
「見当たらないですー……」
「「ん?」」
どこからか、知らない声が聞こえてきた。他にも誰か居るんだろうかと思い、周りを見渡してみた。すると……
「あっ、あなたはあの時の……」
そこにいたのは、冒険者登録のときに話し相手となってくれたあの女性だった。
「あっ、お久しぶりです。あなたも薬草採取に来られたんですか?」
「はい、ヨモギの葉というものを。」
「それ、僕もです。よかったら、一緒に探しませんか?」
「いいですね。」
まさか、依頼の種類が同じだったとは。すごい偶然だ。ラビットの依頼とか選ばなかったんだね。
「じゃあ、まず自己紹介をしませんか?何もわからない人と薬草採取するって言うのもどうかと思いますし。」
「そうですね、じゃあまずは私からで。名前はサクラです。初めて会ったときに言ったかと思うんですけど3日前に始めたばかりです。それで、職業は魔術師を選びました。高校生です。よろしくお願いします。」
「えーっと、僕はハルと言います。今日始めたばかりです。職業は盗賊を選びました。僕も高校生です。よろしくお願いします。」
「えっ、そうなんですか?大人っぽいからあなた………じゃなくてハルさんのことを大人だと。」
「いえいえ、こちらこそですよ。すごい大人っぽいから。それにしても、サクラさんという名前ですか。僕のハルと……」
「そうですね。どちらも春を想像する言葉ですね。なんか、ピッタリな感じです。」
そして自己紹介を終えた。一瞬、僕の学校にいる同じ図書委員の大人しい桜さんの面影があった気がしたのだけど、こんな偶然はさすがにあるわけないし、ということでその可能性は考えずに普通に楽しむことにした。
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