第29話 貴族の結婚編


人魚たちと茶を飲みつつ今後の相談をしたところ、近くの貴族に連絡するために泳いでいった人魚が返ってきた。

なんでも

「とりあえずわたくしの屋敷においでください。こちらからも急ぎ迎えを」

とのこと。

それとほぼ同時に馬に乗った男たちがぞろぞろとやってきた。

そしてあれやこれやと行動を始めたのをみて、三人は先に貴族の屋敷に向かうことに。


「お世話になりました」

「いえいえこちらこそ」

「あの娘にもよろしくいっておいてくれ。世話になった。正式な礼は城に帰った後にさせてもらう」


そんな挨拶をして三人は去る。


三人が向かった城は「郊外の貴族の城」であった。時刻はもう夕方。

それ以上表現のしようがない。この国ではよくある城。

石造りで暖房も冷房も利かない。見た目はいいが住み心地は悪い。


「陛下、急な来訪で何も用意ができておりませんが」


その城の主はそんなことを言って迎える。


「いや、むしろ迷惑をかけるようで申し訳ない」

「いえいえ、それで、なぜ人魚の自治領においでなされたのですか」


王と貴族がそんな会話。

魔王としては、まぁ、正直どうでもいい。

というか


「帰りてぇな」


というのが正直な意見。

彼は初めから巻き込まれてるだけ。


「すまないねぇ。でもわたしも帰りたいんだよ。こんな冒険する歳じゃないんだよ」


それに対して魔法使いはすまなさそうにそう答えた。

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