第23話

「えっ」

集会場に入り、貴族と使者と人魚と魔法使いとその従者らしき人を見た先生は驚いた。

というか従者じゃないだろう。どういうことだよ。


「先生」


村長はこの状況に困り入ってきた先生に助けを求める。


「長さん。なんですかこの状況」

「そこの従者さんが王の勅令を偽物だと言うんだが、私たちにはどうも判断のしようが」

「村長さん。従者も何も、この方は我が国の王であられますよ。私は就任のパレードで顔を見たんですから間違いありません」


この一言にみんな驚愕。

身分はないが学がある男でそれなりに尊敬を集めている。よそ者だが、よそ者だからこそ王の顔を知っているわけだ。

つまり信頼して良い言葉というわけで、どうしたらいいんだ。

というかなんでこんなド田舎に王様と魔法使いがやってくるんだ。誰が連れてきたんだ。

やだ私、偽物扱いしたけど処刑されちゃうかしら。

お前なんてぇことを言ったんだ。親不孝者が。俺たち一家が丸焼きにされちまうんじゃないか。


「なんだかねぇ。新聞に俺の絵を載せてもらおうか」

「先代は新聞なんて下劣なものに、と仰ってましたがこういう状況を見ると一考にしますね」


王様の皮肉に魔法使いは真面目に答えた。

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