第17話
村長を紹介するというお父さん人魚と娘人魚について3人は川沿いをあるくことにした。
人魚が主に川に住んでいる。これはわかる。大きな川だ。人魚くらい住めるだろう。
わかるが変わっているのは
「一つ伺いたいのですが、この扉は何ですか」
魔王が指さす扉。
川岸に等間隔に人間の玄関の扉だけ並べてある。
「家の玄関でございます」
「玄関ってのはわかりますが、要りますか?いやその、失礼に当たるかもしれませんが、あなた方の家はこの川で、玄関と言えばまぁこの川岸でしょう」
川の中で上半身だけ出して泳ぐ娘と父親の人魚を見ながら言う。
それを目印に川沿いを歩く三人はもういくつも人の家を通ったことになる。
随分と失礼だ。
「確かに玄関から出入りしたことはないわ」
娘は笑ってつづけた。
「荷物や手紙を送るときに使うのよ」
娘の言葉だけじゃ説明は不十分かと父は付け加える。
「昔は人間の郵便や配達という物を使いませんでしたのでよかったんですが、一度なれちまうと便利で便利で手放せません。んで郵便屋が「送る分には局まで持ってくるなりうちの人間に渡すなりしてもらったらいいが配達するときに「〇〇川のそば」だけじゃ困るよ。荷物や手紙を置いておける目印になる場所も用意してくれ」って言うんで、村のもんと相談して人間をまねて家の玄関だけいくつかこしらえたんです」
「妙な話ですね」
魔王の率直な意見。
「人魚も利便性には勝てないさ。」
王様の率直な意見.
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