第13話

「大変ですね」


二人はこの魔法使いの従者か何かだろうと勝手に納得し、人魚は魔法使いに対してそう答えた。


「あなたたぶんあの人の従者だと思われてますよ」

「もうそれでもいいよ」


その会話を見ていた二人の従者の会話。


「先ほど申し上げた通りここは王様の土地です。城の地下にある隠し通路となっているとおじいちゃんから聞きました」

「隠し通路?」

「聞いたことはあるけど実在するとは思ってもなかったな」


魔法使いと王様の反応これでこの隠し通路がどういった扱いだったかというものを察してほしい。


「私、ではなくて私のおじいちゃんは王家の方からこの隠し通路を維持するようにと依頼されてるとかなんとかで。最近は病気なので私が代わりに来てるんです」

「無料奉仕でやってるんですか?」


これは魔王の素朴な疑問。そうでもなければ王様や城の管理職である魔法使いが、この場所の存在を知らないなどということはないはずだ。


「いや、毎月役場で金貨をもらってます」


ならなぜこの場所の存在を知らないのか。とつい口から出てしまいそうになったがここでややこしい話をしてもしょうがないと黙った。

読者諸君には後でちょっとだけ説明をさせていただく。


「じゃあ何かの手違いで隠し通路の穴に落ちてしまったようだ。お手数をかけるが、ここからの出口はどこにあるか教えてもらえないかな。すぐに出ていくよ」


魔法使いは代表して人魚に聞く。

このおじいちゃんはいかにもな魔法使いの格好と白いひげがある。

その2つは威厳はあるが、それと同時に話しやすさもある不思議な雰囲気を醸し出している。


「分かりました。ついてきてください」


そう言って娘は湖の中にザブン。


「いや、すまないが私たちは人間なんだ」


人魚が考えるっ出口というのは多分この水の中。

この歳になって遠泳はつらい。下手しなくても死ぬ。

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