第5話

 どうもこうもな状態でお茶でも飲むか、という王様のどうしようもない反応。

 しかしここにいる三人は歳と身分は違えどみな同じ状態なのだ。

 どうもこうも。というわけでお茶を飲むことになった。

 休憩の際のための茶が常備されているのでとりあえず茶を飲むことはできるし。


「とりあえずあのその、はい、改めましてですけど、私は闇の王国の摂政をやってます。事実上の魔王ですね」

「あ、私は魔法使いで、こちらのお方は王様を」


なんてどうしようもない自己紹介だが、何から話せばいいかわからない以上自己紹介から切り出すのが定石。

魔法使いの老人がお茶を用意してみなでカップを持ちながらこんな会話を始める。


「そのですね、私としましても、大ごとにしたくないんです。はい。停戦協定に関する動きは国民の希望でもありますし、こんなことでね、うん、水を差したくない」

「それはこちらとしても同じなんだが、どうもこうも、やっちゃたわけじゃないか。お互い」


王国としては魔王の息子を召喚という名の誘拐。

魔王の息子は息子で王様の城でひと暴れ。

こうなるとまぁその、お互い困る。


「そうなんです。なのでその、お互い、もみ消す形にしませんか。私はまぁその、帰ればなんだかんだと言ってごまかしますので、そちらはそちらでね、うん、頭の方に問題がある野蛮な人間だったとかなんとか、そんなこと言ってですね」

「それが、うん、いいかもしれんな」


ずいぶんと「、」が多い会話をする二人。話しにくいのだ。


「じゃぁそういう事で、私は帰らせてもらいます。こう適当なこと言ってくださいよ。魔王を名乗る問題ある頭に問題がある男が狼藉を働いたが、よくよくはなしを聞かせたら納得して落ち着いたのでなんとかとか」

「わかった。そちらも頼むよ。どこかの魔法使いが手違いで呼んでしまったがとかなんとかで」


話は決着。というわけにはいかない。

そこまで単純な決着がないのが政治ということもあり、まだ5000字程度しか書いてない作者の都合もあるし。

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