第27話
「暴動が起きていないだと? 貴様ら、予の指示通りにしたのだろうな?」
「はい、ペルクーリ殿下。しかし、イコォーマは最初からこちらの動きを予想していたようです。困窮して都に集まった農民共を刺激しないように慎重に
「それを貴様らは黙って見ていたのか? さらに井戸に毒を入れて混乱させたり、その事をイコォーマのせいにして噂を流すなど、やれることはまだあった筈。
「しかし、そんなことをしてはゴルジョケアの西半分が再建不能になってしまいます。例え
「まずは戦に勝つことが先決だ。都など、このイターンに
臣下の騎士どもが
ええい、
確かにリンを手放したのは失敗だった。小麦は凶作で税の取り立ては
「どうなさいました、ペルクーリ殿下? お顔の色が優れませんよ?」
「うむ? いや、何でもないぞ。
第一、あの目が気に喰わぬ。予のことを
何故か、あの目を見ていたら自分がちっぽけで中身の無い器の小さな男の様に思えて来てならぬのだ。予は王太子、つまり次の国王だぞ。このラスカーシャの様に
「殿下、どうなさいました? また敵を苦しめる名案でもお考えなのですか? どうかラスカーシャにも話してお聞かせ下さいませ。」
「うむうむ、良いぞ。近う寄れ。」
ラスカーシャが甘えるように話掛けて来るので抱き寄せてやる。豊かな肉付きの素晴らしい抱き心地。女はこうでなくてはな。あのリンのように
「あ、あの殿下。我々はどうしたら・・・。ご指示をお願い致します。」
「それくらい自分たちで考えろ! 見て判らぬか、予は今忙しいのだ!」
騎士どもめ、ぼうっと突っ立ちおって。全く無能なりに無い知恵を振り絞って働こうとは思わぬのか! 仕方が無い、少し指示を出してやるか。ラスカーシャの手前、少しは
「そうだ、傭兵の集まり具合はどうだ。金に糸目を付けるな。どんどん集めるのだ。」
「ですが、これ以上は『質』が保証出来ません。もう罪人
「
「ははっ!
ふむ、なかなか恰好が付いたか。ラスカーシャが潤んだ瞳で見上げて来る。中々、気分の良いものよ。これは
「それと『アレ』の準備の方は進んでおるのか? 念のため、抜かりなくやっておけよ!」
「ははぁっ!
そうだ、予には伯父上から授かった策と奥の手があるのだ。決して負けることはないわ。今に見ておれよ、リーネオとリンよ。首を洗って待っておるが良い。予に刃向かったことを心の底から後悔させてやるからな・・・。
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