第26話
「ペルクーリ・・・、王太子はティフマターロ家の王族と共に東に向かって行きました。食料も薬も
城の門番さんはペルクーリを「王太子」って呼ぶのも
「エティ隊長、まずは警備隊から都の外に集まっている民衆に伝えて欲しい。食事は順次配給するから落ち着いて指示に従う事。野営用の天幕を豊富に用意してあるから
リーネオさんはてきぱきと指示を出す。エティさんも指示を丁寧に聞いて、部下の兵隊さんにメモを取らせてる。
「その指示が全て行き渡ってから、我らイコォーマの軍勢が来ることを伝えてくれ。我らの目的はペルクーリを始めとした、ティフマターロ王家の圧政からゴルジョケアの民衆を開放することだとな。」
なるほど、食べる物も無くて雨風も
「さて、都の中にまで突然、我らイコォーマの兵が入り込んでは要らぬ混乱が起きるな。ここはリン、
「え、私ですか?」
きょとんとして答える私にリーネオさんはニッコリ微笑んで頷く。まあ、都の中は良く知ってるもんね。大丈夫かな。
「それでは例の雑貨屋に向かうとするか。エティ隊長、案内を頼めるか?」
「はは! 喜んで。おい、そこの四名付いてこい。残りは都の外に集まる難民たちに先程のリーネオ王太子のお言葉を周知徹底せよ。急げ!」
エティさんもてきぱきと指示を出してくれる。どうも成り行きだけで警備隊長になった訳じゃないようだね。部下の兵隊さんたちも
「おお! 【
「何故、突然この国を出ていかれたのですか? ペルクーリの圧政の中、リン様だけが我らの救いだったのに・・・。」
「敵国、イコォーマに寝返ったと言うのは本当なのですか? どうか、我ら民衆には酷い仕打ちをしないで下さい。」
あの魔導具の水筒を売ってくれた雑貨屋に向かう途中、都の市民たちが口々に声を掛けて来る。
「大丈夫ですよ。私は皆さんを助けるために帰って来ました。
私は声を掛けられる度に丁寧に目を見ながら答えた。都には見知った人が多い。皆、気持ちが通じたのか落ち着いてくれた。判って貰えて良かったよ。
「リン様、お願いです。どうか、この子をお助け下さい。」
若いお母さんが赤ちゃんを連れて来た。赤ちゃんは赤い顔をして凄く苦しそうだ。
「
「きゅう!」
「
「本当だ。【
「ああ、リン様。ようこそ来られました。さあ中へどうぞ。」
雑貨屋に着くと女店主さんが店の奥に案内してくれる。もう
「頑張ったね。有り難う、
私は
「お
なんか都を出る時と全然違う態度だ。やっぱり、あの時は私に親切にしてペルクーリにバレると酷い目に
「いいえ、私の方こそ感謝しています。店主さんやエティさんに頂いた水筒も
私はマントを
「
雑貨屋の女店主さんはソウラって名前だそうだ。彼女は床に
「もう
私は
「店主、頼みがある。イコォーマの食料や薬などの物資をこの店に回す。それを出来るだけ安値で放出して欲しい。それと都中の他の店にも物資を渡したいのだが、その手回しと取り仕切りも頼む。」
リーネオさんがソウラさんに頼みごとをする。でも、どうしてお金を取るんだろ。都の外の難民向けの食堂みたいに無料で配った方が良くないかな?
「都の中でもお金を取らないで食料や薬を配った方が皆、助かるんじゃないですか? どうしてお金を取るんです?」
「それをすると難民にとって都の外より中の方が快適になってしまう。中に入れぬ難民たちに不満が
リーネオさんは続ける。
「そうやって若い難民が外に出た分、外から老人や
そうか、そうすれば弱い人たちがより快適な都の中に入り易くなるね。流石はリーネオさん、考えてるよ。
「今は下手に動くより、都と付近の村々の民衆の心を安定させるべきだ。明日にはプロージアやブリストルの部隊も到着する。今日はこの店に泊めて貰うとするか。」
こうして、その晩は雑貨屋に泊めて貰うことになった。時折り、病人を連れた人が訪ねて来る度に
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