第21話
「まさか、あの突きを
マヴィン王の言葉を聞いて、私はぎょっとした。まさか、また【上位互換】とか言われたらどうしよう。リーネオさんはそんな人じゃないよね。けれど一度経験した暗い過去が私をどんどん不安にして行く・・・。
「ふむ。確かにヴァイム殿の【
大笑いしたリーネオさんは
「俺の【
大きく誓う様にこう言うとリーネオさんはゆっくりと私の方を振り返った。彼は優しく暖かく微笑んでる。見た瞬間、私の不安は吹き飛んだ。暗く沈んでいた心がどんどん明るく晴れ渡っていく・・・。
「イコォーマの出す条件は一つのみ。プロージアとの同盟だ。返答は
「・・・。判った、その同盟の申し入れを受け
またマヴィン王の方を向いたリーネオさんが宣言する。マヴィン王は受け容れるしかないよね。観客たちがちょっとざわざわしてるけど、審判さんが決闘の終了を告げると皆、帰り始めた。これでプロージアとの
「実はプロージアには
イコォーマの港に帰る軍船の中でリーネオさんがプロージアの事情を教えてくれた。
「マヴィン王は
「ゴルジョケアですね。」
「その通りだ。敵対するブリストルと同盟にあるプロージアを
私もペルクーリ王太子の陰険なところは良く知ってる。人の嫌がることを思いつくのだけは天才的だったからね、あの人。きっとウキウキしながら次々とプロージアを苦しめたんだろうな・・・。
「とうとう財政も立ち行かなくなることも見えて来たマヴィン王は
「ソウルジェキを戦場にしちゃうと交易に必要な港や倉庫とか設備に被害が出るからですか?」
「そうだ。軍事的に周辺国を守る役割を
けれど、イコォーマの水軍って凄く強いはず・・・。簡単に勝てるはずないのに、どうして急に戦の準備始めたんだろう? あ、そう言えば!
「今度の戦が始まるちょっと前にゴルジョケアから使者が来たって聞いてますけど、あれって?」
「うむ。俺は『もう一つ面白いことが起こる』と言っただろう。なんとゴルジョケアのペルクーリは恥知らずにも
いきなり【
「でも、なぜ急に私を返せって言って来たんですか? あんなに要らないって言ってたのに。」
「その理由はイコォーマに帰ったら教えてやる。その方が説明し
私の質問にリーネオさんが答えてくれた。でもどうして判ったんだろう・・・。私がそのことを聞く前に、彼は言葉を続けた。
「そこで、また色々と在ること無いことを言い触らしたのだ。『イコォーマにはまだ【
私のこと「返せ」って言ったり「ポンコツだから追い出した」って言ったり、人の事なんだと思ってるんだろう。本当腹立つ~! あれ?でも、どうして【
「そうか。【
「その通りだ。そしてあわよくばプロージアと我がイコォーマが刺し違えることを望んだのだろう。そうすればゴルジョケアがミスピエル湖周辺の地域を支配し易くなるからな。」
次にリーネオさんは自分の心に刻み付けるように続けた。
「周りの小国にはなんだかんだと因縁をつけては
「だから決闘の申し出を受けたんですね。プロージアにもイコォーマにもこれ以上被害が出ない様に・・・。そして同盟を申し込んだのもゴルジョケアに対抗して力を合わせる為なんだ。」
「うむ。今回の
リーネオさんの言葉はとても静かに、そして重々しく聞こえる。彼の強い意志が
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