第9話
気が付くとそこは壁が白い明るい部屋だった。あれ?
「ふぅ~。やっと見つけたわ。一年も掛かってしまって
声がする方を見ると金髪の綺麗な女性が立っている。
「あの、この世界の女神さまですか?」
私は直感的にそう
「そうね。その認識が一番近いわ。私はユマラタル、『ユマ』と呼んで
「それでユマさんはどうして私を探してたんですか?」
「あの、私の元部下が
そう言って女神様は
「あとね、他にも不備があったの・・・。本当に御免なさい。」
「不備? まだ不備があったのですか・・・?」
私はゲンナリして
「あのね、地球の神が
ん? 今、「あの子」って言った! まさかユマさんって、あのチャラ神のお母さんってこと? 信じられない! 全然似てないじゃん!
「あ、あのお子さんは【
「ここからは本人に説明させますね。はい、出てらっしゃい!」
女神様がパンと手を叩くと、目の前に地球のチャラ神が出現した。土下座の姿勢だ。
「あ、こ、この度はご迷惑を御かけしまして、ま、誠にサーセン。」
「こらぁ~!」「ズッパーン!」
ユマさんは突然、大きなハリセンでチャラ神のお尻を
「コッタ君、ママあれほどお
「ママ、いきなりハリセンは
「お黙りなさい!」
ユマさんはチャラ神の言い分を聞く気は無さそうだ。ニッコリ笑ってはいるが口元や目元がひくひくしている。知ってるよ、この顔。うちのお母さんも良くやる顔だ。この後、ちゃんとしないとヒドイんだよね。それにしてもチャラ神って「コッタ」って言うんだ。初めて知った。
「まあまあ、お母さん。私としては【
話を進めたい私はチャラ神「コッタ」君に助け舟を出した。ホントは
「え、えっと、
「
「あのユマさん、『伝意』ってどんな効果があるのですか? 何か不具合があるのですか?」
「ええ、説明するわ。『伝意』には『相手の目を見ながら話すと、こちらの感情や気持ちが伝わる』って効果があるの。だから好意や相手を思いやる気持ちを伝えるのには良いんだけど、相手を良く思ってないとか悪意がある場合は逆効果になるの。」
「じゃあ、悪い印象を持っている人に対してとか、腹を立ててるときは相手の目を見て話さない方が良いってことですね?」
「そうなの。
そうか、じゃあペルクーリ王太子と話してる間、私は
「一度付けてしまったスキルはもう変えられないの。けれど、『
「判りました。わざわざ伝えて下さって有り難うございました。これからは気を付けて人と話すようにします。」
お
「
ユマさんはニッコリ笑って手に持った「ハリセン」を私に手渡した。ん? どうゆうこと?
「これが貴方が探していた【神を叩けるハリセン】よ。特別に三発だけ使用を許可します。」
「え? コッタ君を叩いても良いんですか?」
私の問いに女神ユマさんは満面の
「顔を上げて下さい。地球の神『コッタライネン』さん。そして正座して下さい。」
私はわざと優しく言った。土下座の体勢だったチャラ神が顔を上げて正座する。その表情は、もしかしたら許してくれるの?と期待しているみたいだ。
「 もう反省したからハリセンだけは許して。それ
「・・・。ん~ん、この方が
チャラ神『コッタライネン』の顔が絶望の表情に変わるのを確認しながら、私はハリセンを大上段に振りかぶる。
「これは、間違えて死なせてくれた分! それと相手の顔を見て話せ!」「ズッパーン!」
「これは、『超量産型』って言った分! チャラチャラした話し方するな!」「ズッバーン!」
「これは色々と
三発目を打ち
「ホントにもう、この子ったらお父さんに似ちゃったのかしら? 髪の色も同じ黒だし・・・。
「はい。大分、スッキリしました。」
女神ユマさんの話が本当なら、
「良かった。お
この世界の女神ユマさんとチャラ神コッタ君の姿が次第に透けてゆく。
「じゃあ、コッタ君。スマホは一ヶ月没収!」
「え、ママ、それだけは許して! もうお
「ダ~メ! 一ヶ月ちゃんとお仕事出来たら返してあげ・・・。」
二人の会話がそこまで聞こえて来た
次の瞬間、私は目覚めた。そこは元居た宿屋の部屋だった。
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