逃走劇と死刑宣告

全力疾走で昇降口に着く


「夜長くん、逃げないって言ったじゃないですか」「やーくん、なんで逃げるの。待ってよ〜」「待ちなさい月夜くんそこで止まるならら許してあげるわ」


後ろからものすごい叫びが聞こえるがここで止まるわけには行かない!!

急いで靴を上履きに履き替え外履きを下駄箱へシュゥゥゥーッ!!超エキサイティン!

…とか言ってる場合じゃなかった!!


俺達2年の教室は4階にある。そのため教室に行くには階段を上る必要があるのだが、ここで速度を落とせば確実に捕まる。


「いい加減止まってください夜長くん」

「やーくん、そろそろ観念しなさ〜い」

「月夜くんそろそろ容赦しないわよ」



君たち何がなんでも早すぎない!?

今さっきの俺の3倍は早そうなんだけど!?

いやそんなこと考えてる場合じゃない

一段飛ばし程度じゃ追いつかれる…二段飛ばし、行けるか?いや行かないと捕まる!!


「オオオオオオアアアアアアアアアアーーーーーッッッッ!!!!!!」


「なんですかそれ!?」

「何がなんでも早すぎないるよ!?」

「なんなのその動き!?」


そんな彼女達の声を背に俺は階段を三段飛ばしで駆け上がるのだった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



なんとか彼女達を振り切り教室まで来れた

(と思う。思ってないとやってられない)


教室内からはガヤガヤと賑やかな声が聞こえてくる。俺は少し懐かしい気分(1週間きてない程度だが)になりながら教室のドアを開けた


「みんなおはよう。久しぶり」

…なんで無言?

というかなんでみんなそんな信じられない物を見たみたいな顔してんの?


「大将!?」「大将!?留学に行ってたんじゃ…」「急に来なくなるから実は事故にでもあったのかと」「お前ら大将が戻ってきたぞ学園中に知らせろ!!」

「「「「「「おう!!」」」」」」


ドユコト?と疑問に思っていると

「皆さんには夜長くんが私の家にいた間、夜長くんは留学に行ったということにしたんです」

急に耳元で囁かれた

「オオオオオオアアアアアアアアアアーーーーーッッッッ!!!!??????」



「うるさいですよ夜長くん」

「そ〜だよ流石にうるさいよやーくん」

「月夜くん叫ぶのはけどここは学校よ」

なんでここに!?最低でも1分はかかる距離を逃げたはずなのに!?

「流石に追いつくのは大変でした30秒もかかってしまったじゃないですか!」

あ、ありえん。俺でも1分はかかるコースだったのに

「そんなことより夜長くん。なんで逃げないって言ったのに嘘をついて逃げたのですか」


「え、いや、それは…」


「『え』も、『いや』でもないです!私たちとても悲しかったのですからね!!」

「今回のは流石に温厚な、まこちゃんも激おこかな〜」

「ギルティよ月夜くん覚悟はできた?」


「「「昼休み覚悟してなさい♡」」」


彼女達からの甘く艶やかな死刑宣告に

俺は顔を引きつらせ頷くしなかなかった


ちなみに彼女達の死刑宣告を聞いて

男子達は俺に嫉妬の視線を寄越し、女子達はキャーキャーと騒いでいたことをここに記しておく




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