初めての名前呼び

例の提案から一夜明け…鳥のさえずりで目を覚ます。

1番に目に入ったきたのは見知らぬ天井と青い空、そして…

裸で俺に抱きついている蔵敷さんだった。

…何故???????

「ちょ!?、蔵敷さんなんで裸で抱きついてきての!?」

「……うるさい…静かに……して」メコッ

「デジャビュ!?」昨日もこんなだったな。そんな事を思いながら俺の意識は再び闇に沈んでいった。


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「おはようございます夜長くん♡よく眠れました?」

「おかげさまで…とてもよく寝られたよ…」

…あなたの腹パンのおかげでとてもよく寝られたよ。

「それはよかったです。朝ご飯、何が食べたいですか?なんでも用意しますよ♡」

うーん、特に食べたい物とかないんだよな…強いて言うなら和食かな?

「そうですか…わかりました。朝は和食で何か用意しますね♡」

「ちょ、ちょっと待って俺今、口に出してた?」(何も言ってないはずなんだけど…)

「いいえ、何も言ってませんでしたよ。私が夜長くんの心を読んだだけです」

嘘だろ!?蔵敷さんってエスパーなの!?

「嘘ですよ、私はエスパーじゃないです。ただ夜長くん限定でちょっと心が読めるだけです♡恋する女の子はすごいんですよ♡」


唖然とする僕を置いて蔵敷さんはキッチンに降りて行ってしまった。


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「ごちそうさまでした」

「はい、お粗末様でした♡」

今日のご飯も美味しかった。あまりにもうますぎてこの生活が始まって二日目なのに、いつものコンビニ飯に戻って満足できるか不安になってきた

「ふふ、そんなに美味しいと思ってくれたんですね♡嬉しいです♡」

…もう何も気にしないようにしよう。多分俺の表情が読みやすいとかそんなんだろう。


「それじゃあ、お皿洗いしちゃいますね。夜長くんはテレビでも見てくつろいでいてください♡」

「それくらい俺がやるよ。むしろやらせてくれ」

「ダメです♡夜長くんは何もしないでずっとここにいてください♡」

「それはできない。蔵敷さんに頼りっぱなしってのも嫌だし、何もしないと何もできなくなりそうだからせめてそれくらいやらしてくれ」

(そうでもしないとマジで何もできなくされそうだ…それだけは避けないと…)

「そうですね…わかりました。夜長くんが一つ条件を呑んでくれたら、今回の件は私が譲りましょう♡」

「………わかった。その条件とやらを呑もう。それで、その条件て言うのは?」

「その呼び方です。蔵敷さんというのは他人行儀な感じがするので秘座子♡って呼んでください♡」

「うっ…そ、それは「いいんですよ、何もしなくても♡私がぜーんぶやってあげますから♡」

「わ、わかった…蔵s「秘座子」秘座子さn「秘座子」…」

「わかったよ。秘座子、これでいいかい?」

「はい♡それでは今回のお皿洗いはやってしまったので次回があったらお願いしますね♡」

なっ…!?

「ちょ!?蔵敷さん!」

「つーん」

「蔵敷さん?」

「………」

「……秘座子?」

「はい♡何ですか?夜長くん♡」


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結局、何もすることができないまま『秘座子』呼びが確定してしまった…

こんな事で、これから先この生活から抜け出すことはできるのだろうか…






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