04.初めての魔法
さて、洗濯も終わったことだし。
カルディアに、ちょっと魔法について、教えてもらおうと思う。
ちょうど、ショートソードを振り回してるカルディアがいたので、質問をしてみる。
つか、何してるんだ、この子は。
「すみません、カルディアさん。魔法ってどうやったら使えるんですか?」
「ん?そうだな、こう、火がバーンてなって、ピューンって飛んでくイメージで、ほら」
そういって、手の平から、大きいスイカほどのサイズの火の玉を飛ばす、カルディア。
お、おう。この子、長島さんタイプか。
「ち、ちょっと、やってみますね」
手を思いっきり開いて、火の玉が飛んでくイメージを強く強く頭の中で思い浮かべる。
そして、ここだってタイミングで、それっぽい感じに力を手のひらに集中させてみた。
が、なにも起こらない。
「タケシ、お前魔法使うイメージできてるか?全く魔素が集まってないぞ」
「イメージ?魔素を集める?どういうことでしょうか。できるだけ詳しく教えてください」
「魔法は誰でも使えるはずだ。魔素を集めてイメージとくっついて魔法ドーンってなるんだ」
お、おう。詳しくっていったのに、また、長島さんだ。
この世界では大気中に魔素があって、それが体に吸収されて魔法が使えるようになるそうだ。
魔素をそのまま魔法に変換できれば、魔素があるところなら、ずっと魔法が発動できることになるのだが残念ながら限界がある。
人は、魔素を吸収して魔法に変換するのに精神力と体力を使うからだ。
でも、精神を鍛えればより多くの魔素が蓄積できるようになるし、体力を鍛えれば体力が続く限り魔素を魔法に変換できるようになる。
だから、心と体を鍛えることが重要なんだそうだ。
あと、魔素は多いところと少ないところがあるそうで、ここは普通だそうだ。
わりと詳しい説明をしてくれたが、全く進歩がない。
「だめです。俺には適性がないのかもしれないです」
「んーん、なんかタケシは、自分で限界を作ってないか?」
不意にカルディアが近づいてきて俺の手をとった。
「えっ、きゅ、急になんですか!?」
32にもなって、このドキドキ。これが恋!?
そして、カルディアの反対の手の平に、青い火が灯った。
それを見て、俺の顔も青ざめる。
「ちょ、なにし、て、手熱くないんですか!?」
「自分で出した魔法の火だからな。それもイメージ次第だとは思うが、熱くない」
そう言いながら、俺の手を開かせて、俺の手に火をこぼしてきた。
「ぎ、ぎゃあっ、いきなり何すんだって、あれ?熱くないですね」
「ちょっと強引だが、魔法の使い方を教えてやる。よく見ろ、お前の手で起きてることを。そしてイメージしろ、この火はまだまだ燃える。そう頭に思い浮かべろ」
自分の手に、火がついて衝撃的だったが熱くなく、そして実際に燃えていることを目で見て自覚した結果なのか、カルディアが手を離した後も、燃やし続けることができた。
「ちなみに、こうやって燃え移るイメージをすると、ほら」
「ほらじゃねぇ!やめろ!麻ズボンに火がうつってんじゃねーか!熱くねーけど、麻が燃えちまう、くっそ、水、水、あ、岩だ!」
水が出る岩に滑り込んで消火した。可愛い顔してなんてことするんだ、この子は。
ゲラゲラ笑ってる…だいぶイメージが変わるわぁ。
気を取り直して、しばらく一連の流れを繰り返した。
そして、1時間ぐらいしてやっと、手の平に火を灯すことができるようになった。青くはない。
元の世界の常識が邪魔をしていたようだ。とんでもない体験だったが実際に体感して、頭の中の凝り固まった既成概念をぶち壊すことができた。魔法は使える。
「できましたよカルディアさん!魔法使えました!俺、適性あるんじゃないですか」
「これが魔法の初歩の初歩だ。適正があるかは、魔素が集まってくる量で決まるんだが、今のところタケシはあまり集まってないな」
「え、それって・・・」
「まぁ、まだ始めたばかりだからな、見極めるのはまだ先だ」
「わかりました。いっぱい練習してみまーー」
と、喋ってるうちに、俺は気を失った。
調子に乗って、魔法を使いまくったため、精神力と体力をゴリゴリ削られ限界を超えていたようだ。
でも魔法すげー。ものすげー楽しい。
それに、この世界で生きていくには、かなり重要な要素になりそうだ。俺は目が覚めてすぐに、カルディアに「弟子にしてください」とお願いした。
カルディアは、笑いながら
「私も修行の身だからな。上手く教えられるかわからないが、私と一緒に修行をするか?私は厳しいぞ?」
と、脅しをかけてきた。
ふふふ
あなた、ショートソード振り回してましたよね?
俺の麻ズボン燃やして、ゲラゲラ笑いやがって。あれが修行ですか?まったくこっちが笑っちゃいますよ。
と、高を括くくっていたら、魔法はガチ勢だったみたいで、信じられないぐらい厳しかった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます